南消防団第一分団長で春の褒章で藍綬褒章を受章した 浜中 孝夫さん 清水ヶ丘在住 69歳
黙々とまちの安全守る
〇…約40年間、消防団員として活動してきた功績が認められての受章に「最初に話があった時は、寝られない日もあった。それだけ重いものだと感じる」と噛み締めるように話す。「消防団長、団員、署長に感謝したい」と、どこまでも謙虚な姿勢を崩さない。
〇…北海道で生まれ、3歳から南区に。南太田小から蒔田中に進み、職業訓練校を経て市営バスの車掌を6年間務める。その後、義兄と水道工事の会社を設立。「三が日以外は仕事だった」という多忙な中、町内会の知り合いから消防団入りを勧められた。入団を申し出るが、待てど暮らせど正式決定は出ず、結局、5年間も待った。「素行を見て、『コイツなら大丈夫』と慎重に判断したのでは」と振り返る。消防団員にはそれだけの厳格さが求められるとも感じている。入団後は操法訓練大会の選手に選ばれ、毎晩練習。火災現場から寝ずに翌朝の仕事に向かうこともあった。
〇…忘れられない現場がある。2008年、自宅そばの火災で高齢者が死亡。消防隊員でも救助できない規模の火災だったが、「助けられなかったという思いが残る」。以来、「地域から火を出さない」との使命感が強くなった。11年に分団長に。「率先して黙々とやってくれる団員を評価する」のが信念。若いころの自分を重ね合わせるかのように「細かい仕事をしてくれる人に光を当てたい」と願う。若い団員も増え、「和気あいあいとした雰囲気になってきた」と笑顔。
〇…04年から町内会長も務める。「町内会の和」を最も大切にする。近所の人と旅行に行くのが楽しみ。昔からの趣味は釣りだが、しばらく行けていない。「船の上でぼーっとしたいね」と笑う。妻と娘の3人で暮らす。「家のことを守ってくれている」と妻に感謝。「寿消防団の流れを継ぐ伝統ある第一分団で若い人を育てたい」と残り少ない消防団人生も黙々と背中で後輩を引っ張っていく。
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