保育士とIT、デジタル分野で活動する人が話し合いながら、業務改善、効率化につながるアイデアを出す「保育アイデアソン」が2月24日、くらき永田保育園=永田東=で行われた。保育士にとって課題となっている子どもの行動記録管理について、異業種の視点からデジタル技術を活用したさまざまなアイデアが出た。同園は「保育園をテーマにしたアイデアソンは日本では初めてではないか」と話し、今後もアイデアソンを続けていく。
「アイデアソン」は「アイデア」と「マラソン」を組み合わせた造語。あるテーマについて、新しい発想を生み出すために、話し合うイベント。IT分野やビジネスだけでなく、まちづくりや教育の現場でも取り入れられつつある手法だ。
「デジタルで仕事変える」
同園の鈴木八朗園長は「保育業界もデジタル化が進んでいるが、子どもと接する時間以外に安全管理や事故防止への対応も多く、業務が増えている」ともいう。そこで、「デジタルで保育士の仕事を変えられないだろうか」と考えた。
鈴木園長と交流のあったエンジニアやデザインなどの異業種で活動する15人を招き、保育士と議論するアイデアソンを企画。鈴木園長は「保育園でのアイデアソンは日本初ではないか」と話す。
テーマは「記録&計画」。保育士が日常的に行う子どもの行動記録作成や撮影などをデジタルの力で改善する方法を保育士を含む5チームが話し合った。
子ども向けの知育動画を作る「イースマイリー」の社長を務める矢澤修さんらのグループは、保育士が1日30分以上かけているという日誌作成の効率化を目標にした。保育士が音声メモを残せる腕時計を付け、気になる子どもの行動を見た時、その場で腕時計に話して記録することを考案。デジタル化されたメモを日誌に整えるのは、全国に数十万人いると言われる「潜在保育士」。保育士資格を持った専門家が家にいながら日誌を作れるシステムを考えた。ほかのグループからは、子どもに位置情報が分かるバッジを付けさせ、誰と接しているのか、どんな遊び場が好きなのかを把握できるアイデアも出た。
鈴木園長は「大切なのは、子どもの監視ではなく、育ち方や興味関心を可視化させること」と話し、それに沿った発表が行われたことを喜んだ。各グループからは「デジタルを活用することで、子どもと一緒にいる時間を守っていく」との言葉が出ていた。鈴木園長は「実現可能なものは取り入れたい」と話し、今後は遊び道具に関するアイデアソンも行いたいとした。
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