大岡の特別養護老人ホーム白朋苑(運営=社会福祉法人大陽会、島村和子理事長)で健康の維持増進や介護予防につなげるために栄養士が地域を訪れ、食事管理や指導などを行う「栄養ケアマネジメント」(以下、栄養ケア)の取り組みが昨年から進んでいる。市内の社会福祉法人では初めて栄養ケアに取り組んでおり、管理栄養士の山田恵子さん=人物風土記で紹介=は「多くの人に取り組みを知ってほしい」と話す。
「栄養ケア」は、住民が栄養相談、指導を受けられるようにする取り組み。管理栄養士・栄養士が専門的な立場から地域や医療、福祉機関に対して栄養指導を行うことで、住民の健康寿命を延ばしたり、生活習慣病を改善するなどの効果があるとされている。
市内初の試み
白朋苑では、地域に住んでいる人にも食事のことを考えてほしいと、昨年4月から勤務する管理栄養士が栄養ケアを始めた。市内では、クリニックや薬局が栄養ケアを行っているが、社会福祉法人では白朋苑が初めて。これまで、栄養士は施設利用者の食事メニューを考えることが主な仕事だったが、地域や企業向けの栄養講座を開いたり、依頼者の自宅を訪問し、食事を思うように摂ることができない人に指導や食材選びを行おうとしている。すでに、数カ所の自治会の集会に栄養士が出向き、栄養素や調理法などの講座を行ってきたことで、食事について考え直す人も増えつつある。
周知の課題も
栄養ケアを中心的に取り組む管理栄養士の山田さんは「小学生でも生活習慣病になるなど、栄養ケアが必要な人は多い」と話す。栄養士の増加や制度改革により、栄養ケアを行いやすい環境は整いつつある。
一方、訪問介護の現場で栄養ケアの優先度は低く、在宅医療の勉強をした医師でないと知識も乏しい。在宅訪問には医師の指示が必要であることや、保険適用の仕組みが複雑であることも加わり、積極的に行う医療機関や栄養士が少ないことが課題となっている。
山田さんは「積極的に医師や地域に向けて栄養ケアの情報を発信し、理解を深めていく必要がある」と話した。
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