市立六つ川小学校(山口慶校長)にある菜園用地の畑からこのほど、数千年前の縄文時代のものと思われる石器が見つかった。六ツ川付近には遺跡が数カ所あるが、専門家によると、石器の出土は珍しいという。同校は「六ツ川の歴史を知る資料として、子どもにも伝えたい」としている。
農作業中に発見
石器は同校にある菜園で児童とともに米やダイコンなどの野菜作り活動を続けている住民有志団体「農援隊」の隊長である東梅良成さんが8月9日に見つけた。
同日、東梅さんが畑を耕していたところ、深さ20〜30cmの場所でくわが固い物に当たった。掘り出してみると、幅約11cmの石で、両側が鋭く削られたようになっていた。高校時代、考古学部に所属し、埋蔵物に関する知識があった東梅さんは「これは石斧ではないか」と直感したという。
その石を県埋蔵文化センター=中村町=に鑑定してもらったところ、「石器で石斧である」との結果が出た。この石を木の棒に縛り付け、斧として使われていた可能性があるという。
周辺、多数の遺跡
同センターの資料によると、六ツ川には大小合わせて10カ所以上の遺跡がある。同校そばの六ツ川3丁目の「大丸遺跡」は約9千年前の縄文時代早期の集落として有名。六つ川小がある場所は縄文前期から中期の遺跡とされ、約5千年前から7千年前にあったと推測される。六ツ川の遺跡では、土器の出土は多いが、石器が見つかることは珍しいという。
同校では、6年生が大丸遺跡について学ぶことはあったが、学校の敷地内から石器が見つかったことに山口校長は「児童に六ツ川の歴史を身近に感じてもらえる貴重な資料。ロマンを感じる」として、今後、説明などを加えたパネルを作って校内に展示する予定。
同校には1967年の開校時から校庭の脇に畑があり、野菜などを育ててきた。しかし、教諭の入れ替わりなどで畑の手入れが行き届かず、放置されていた。2014年、農業経験者ら住民有志が「農援隊」を結成し、土いじりを通して野菜や米作りを児童とともに行う。東梅さんは「今まで放り投げていた石の中に石器があったかもしれない」と苦笑いしつつ、「今後は、作業の際に注意したい」と語った。
南区版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|