江戸時代の荷役制度「助郷(すけごう)」の伝承を目指す「永田村助郷伝承保存会」(服部孝祥会長=人物風土記で紹介)が制度を住民に知ってもらおうと、11月24日に永田地区センターで初の出張展示会を開催する。服部会長は「郷土史への理解が深まれば」と話す。
大名行列に人馬
助郷は大名行列などの際、荷物を送り届ける人馬が不足するため、幕府の命令に応じ、近隣の村が人馬を提供する制度。
保土ケ谷宿に近かった江戸時代の永田村からは多くの人や馬が借り出された。同保存会の史料によると、正徳元年(1712年)には永田村から1399人と1832頭の馬が行列に付き添い、神奈川宿などに荷物を送り届けたとされている。
この伝統行事をよみがえらせようと、1993年に旧家の住民らが中心となり、同会の前身「永田助郷伝承保存連」を立ち上げた。
はんてんや「長持ち」と呼ばれる荷物を運ぶ器具などを揃え、当時の行列を再現したものを2年に1度、北永田地区の「ふるさとふれあいまつり」で披露している。まつりには毎回多くの近隣住民が集まり、にぎわいを見せている。
熱い思いで存続維持
精力的に活動していた保存連だったが、会員の高齢化や維持費用、器具や資料の保管場所などの問題もあり、2015年に解散することに。しかし、服部会長らは「永田の歴史を次代に伝承する役目がある」と、助郷の器具などを引き継ぐことを提案。名称を「永田村助郷保存会」と改め、活動を再開させた。
南区の補助金を活用し、保管場所として、郷土史について学んでいた永田小学校の児童らの呼び掛けもあり、昨年12月に同小の一室に「永田村すけごうルーム」を開設。教諭や保護者からは「助郷を契機に、子どもたちが地元の歴史を理解する良い機会になった」などの声が寄せられており、助郷文化の普及は広がりを見せている。
「地元の支援」力に
来年度は補助金が支給されないため、運営は楽ではないという。しかし、地元住民から3年間で約140万円の支援金が集まっており、保存会の存続を願う声は少なくない。同会は「皆さんのご厚意に感謝。永田の歴史を後世に引き継いでいきたい」としている。
地区センターの出張展示会では、長持ちや行列再現時の写真などが展示される予定。時間は午前10時から午後2時まで。
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