市立大岡小学校(近藤浩人校長)の6年生が同校敷地内や付近の土を使った焼き物づくりに取り組んでいる。1月22日には、児童が作ったカップで茶やコーヒーを提供する”カフェ”を大岡地区センターで開いた。「眞葛焼」など、南区に由来がある陶芸作品についても調べており、児童は「焼き物の良さを多くの人に知ってほしい」としている。
焼き物づくりに取り組むのは6年1組の34人。総合学習の時間で昨年から進められている。社会科の授業で縄文時代の土器について学んだ後、信楽粘土を使った土器づくりを体験。焼き物について調べるうちに、明治初期に現在の南区庚台にあたる場所に窯を設け、輸出向けの陶磁器を作っていた宮川香山の「眞葛焼」の存在を知るなど、地域と焼き物の関係に興味を深めていった。
陶芸家に話を聞き、国内から焼き物に使う粘土が少なくなっていることを知った児童は、学校や付近で粘土探しを開始。ボーリング資料を使って探すと、同校敷地の地下に粘土層があることが判明。穴を掘って粘り気のある土を見つけた。ほかにも、弘明寺公園などでも土を採取。焼き物に適した土を選別した。
校内の焼き窯を使って試作づくりに取り組んだが、素焼きした際に土に穴やひびが入ってしまった。陶芸家からアドバイスを受け、土を叩いて空気を抜くことや、よく練り込むことを学んだ。
資源の大切さ知る
助言を生かし、児童はコップや箸置きなどを制作した。「大岡焼」と名付け、学んだことを保護者や学校周辺の住民に披露するため、「焼きものカフェ」を地区センターで開催。来場者へ大岡焼に入れた茶やコーヒーを振る舞いながら、自分たちが調べた焼き物に適した土の特徴や眞葛焼と大正期に永田で活動していた陶芸家・井上良斎について説明。さらに、不要になった食器を粉砕して新たな食器を作る「Re-食器」を紹介し、限られた資源を有効に使う大切さも訴えた。
来場した同センター付近に住む男性は「学校にある土で焼き物を作るとは驚いた」と話し、「南区で活躍していた陶芸家がいることも知らなかった」と児童の取り組みに感心した様子だった。
食器選び 楽しみ
女子児童は「焼き物づくりを通して、食器を選ぶのが楽しくなってきた」という。担任の今辻雅子教諭は「児童は土が資源であることに気付き、陶器の作り手の努力を知ろうとしている」と話す。カフェをもう一度行う予定で、卒業を前に身近な資源を使った焼き物づくりを進めていく。
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