南区内では、振り込め詐欺やオレオレ詐欺などの特殊詐欺が多発している。本紙では南区民の安全を守る南警察署の田中武志署長、南防犯協会の岩田春男会長、南区の松山弘子区長に詐欺被害防止への取り組みや思いなどについて聞いた。(進行/本紙・梅里大樹)
--全国的に特殊詐欺が多発し、手口も多様化しています。南区内でも多発する特殊詐欺の手口や被害状況について田中署長お聞かせください。
田中「南区で今年発生した特殊詐欺の認知件数は11月末時点で40件と昨年から21件、被害額は約1億2千万円から1億円に減少していますが、1件あたりの被害額が増加するなど、依然として深刻な情勢です。特殊詐欺の主な手口はキャッシュカードを預かる手交型や窃盗型のほか、キャッシュカードにはさみで切り込みを入れて騙し取る手口も発生しており、キャッシュカード被害は区内の特殊詐欺被害の約7割を占めています」
--南警察署、南区役所、南防犯協会では、それぞれどのような取り組みを行っていますか。
田中「今年、南警察署では金融機関の職員を騙って高齢者からキャッシュカードを騙し取った特殊詐欺グループを検挙しました。また、詐欺被害の防止対策として、年末にかけて南防犯協会、南区金融機関防犯連絡協議会と連携してキャッシュカード被害に重点を置いた対策を講じました。そのほか、横浜南郵便局と協賛企業の協力を得て、特殊詐欺への注意を呼び掛けた『かもめーる』を地域の皆様にお届けさせてもらうなどの活動を行いました」
自主防犯を意識
松山「南区役所では、特殊詐欺防止のためのリーフレットを作成するとともに、今年1月からは婦人部や消費生活推進員などがイベントで地域の方に電話機に取り付ける「警戒チュー」を約400個配布しました。これは受話器を持ち上げた際に注意を呼び掛ける音声が流れ、一人暮らしの高齢者などを詐欺被害から守る防犯グッズです。利用者アンケートによると、『電話に出る時に気を付けるようになった』などのお声をいただく一方で、『録音機能付き電話機の方がいい』などの意見もいただいております。5月、6月に1件の被害額が1千万円を超える特殊詐欺が連続して発生したことを受け、7月に区役所や区内4カ所の地区センターで注意喚起する啓発を行いました」
岩田「南防犯協会では、防犯指導員が中心となって警察と連携を図りながら、防犯パトロールや特殊詐欺防止を啓発する防犯活動を行いました。今年はコロナ禍で大規模なキャンペーンができませんでしたが、特殊詐欺の新しい手口や注意点などを地域住民に啓発し、自主防犯意識の向上を図ってきました」
高齢者に電話機
--自主防犯意識は大切ですね。南区では、迷惑電話防止機能付き電話機のモニター募集が11月24日から始まりました。
松山「区内では1月から10月末までで被害総額が1億円を超える被害が報告されています。特殊詐欺は電話を使う手口が多いことから、すぐには電話に出ないこと、家にいても留守番電話や迷惑電話防止機能の設定が効果的だと伺っております。そこで『神奈川県特殊詐欺被害防止対策事業補助金』を活用し、電話機の購入及び受け付けを区役所で行い、取り付けを南警察署で行うなど連携して迷惑電話(特殊詐欺)防止機能付き電話機のモニターにご協力いただける方を募集するものです。具体的には来年2月26日までを募集期間とし、対象は『南区にお住まいの原則70歳以上のみの世帯』となっております。モニター募集は70台となることから、先着順とさせていただくことをご了承ください。期間中はアンケートを実施し、次年度の事業の参考にします。詳しくは南区地域振興課(【電話】045・341・1235)にお問い合わせください」
年末年始も警戒
--それでは最後に、年末年始に向けて一言ずつお願いします。
田中「南署には12月1日から来年1月3日まで、年末年始特別警戒実施本部を設置し、金融機関や深夜商業施設を狙った強盗や特殊詐欺などの抑止、検挙活動を強力に推進していきます。地域の皆様が年末年始を平穏に過ごせるように、署員が一丸となって取り組んでいきます」
松山「年末年始は空き巣、すりなどの犯罪が増えると聞きます。帰省や初詣の際は戸締りなどの防犯対策を講じた上でお出かけください。また、コロナ禍により地域の交流が減ることで、情報が広がりにくい状況ですが、区役所としても広報やキャンペーンなど、さまざまな方法で皆様に発信してまいります」
岩田「我々は206の町内会、約7万5千世帯から組織され、16の連合町内会のご理解とご協力の下活動しています。『自分の安全は自分で守り、地域の安全は地域で守る』という考えを皆様に発信し、犯罪抑止に努めていきます」
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