永田南在住の杉原巨久(たかひさ)さん(74)が実物の約5分の1サイズの蒸気機関車を約25年かけて完成させた。「国鉄C62形蒸気機関車」をモデルに作り、全長は約4・3m。作品を展示することが目標だといい、各地の博物館や公共施設に協力を呼び掛けている。
杉原さんは1960年代から70年代に起きた「SLブーム」で蒸気機関車(SL)に興味を持った。間近で見た「C62形」の重量感に感動し、実物と同じように蒸気圧で動く、約9分の1の大きさのSL作りに挑戦することにした。
一度は断念も
国鉄に頼んでSLの図面を印刷させてもらい、金属加工に必要な旋盤とフライス盤を購入。定年まで働いた会社では経理などの仕事を担当し、ものづくりとは無縁だったため、町工場の職人に加工技術などを教わった。作業を進めていたが、30歳で結婚して子どもができると生活が一変。仕事と子育てに追われ、作品が7割完成したところで製作を断念した。
45歳のころ、東京の世田谷公園にあるミニSLに乗車し、SLを作りたいという思いが再燃した。子育てがひと段落した50歳の時、結婚前に製作を進めていた「9分の1SL」と別に、さらに大きい全長4・3mの「5分の1SL」の製作に取り掛かった。
大阪にあった交通科学博物館に17回通い、C62形の情報を収集。実物の寸法を測り、以前よりも詳細な図面を作った。ボイラーは技術的に作るのが難しく、SLを走らせることは諦めたが、今年3月に25年の歳月をかけて完成させた。
鉄道全駅制覇も
杉原さんは日本の鉄道全線全駅に下車するという前人未踏の偉業に挑戦。1999年6月2日から2003年10月19日にかけて9649駅(当時)に下車し、ギネス世界記録に認定された。SLの製作費と旅費を合わせると、1500万円以上掛かったという。
自作のSLは現在、自宅のわずかなスペースに置いているが、博物館などの施設で披露するのが夢だ。「作りかけの9分の1SLを完成させ、多くの人に見てもらうのが最終目標」と話し、夢への挑戦が続く。
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