南交通安全協会は南警察署などと連携し、5月12日に大岡はらっぱで交通安全教室を開いた。4月に改正道路交通法が施行され、自転車に乗る全年齢の利用者を対象にヘルメットの着用が努力義務となったことなどを受けて実施。警察官が頭部の保護が転倒時のけがの軽減につながることを住民に説明した。
交通安全教室には南交通安全協会や南安全運転管理者会など、約10団体が協力。未就学児から小学生と保護者がメインに参加した。警察官が住民にヘルメットの着用を呼び掛け、自転車の交通ルールを説明したほか、横断歩道の正しい渡り方を指導した。また、パトカーと白バイの乗車体験会も実施。警察官と交流する親子でにぎわった。
子ども2人と参加した30代女性は「子どもと楽しみながら交通ルールについて基礎から学べた」と話し、警察官の説明を聞き入っていた。南交通安全協会の置田光男会長=人物風土記で紹介=は「少しの不注意で交通事故が起きる。家族への『行ってきます』のあいさつが最後の言葉にならないよう、ドライバーだけではなく、歩行者も交通ルールを徹底してほしい」と訴えかけた。
法改正で全利用者対象
従来の道交法ではヘルメット着用を努力義務とする対象は13歳未満の子どもに限られたが、改正後は全ての自転車利用者に拡大された。だが、罰則規定がないこともあってか、警察庁が2、3月に13都府県で調べたヘルメット着用率は4%で、神奈川県は3・6%にとどまっている。
神奈川県警によると、2018年から22年に県内で自転車乗車中の事故で亡くなった人は72人で、約7割にあたる52人が頭部に致命傷を負っている。警察庁の資料によれば、ヘルメットを着用していなかった人の致死率は着用していた人の約2・2倍となっており、頭部外傷が命の危機に関わる事故のリスクを高めることが分かる。
南区内では今年5月12日時点で、自転車利用者による自過失事故で脳挫傷を負った人が2人。2人ともヘルメットを着用しておらず、大けがにつながったとされる。南警察署の田上数仁署長は「努力義務のため強制はできないが、大切な命を守るためにもヘルメットを着用してほしい」と呼び掛ける。
注文殺到 品薄続く
着用率の低さが目立つ自転車ヘルメットだが、品薄で手に入らない状況が続いている。
二葉町の「馬場自転車店」では、改正法施行直前の3月中旬ごろからヘルメットの注文が増加。商品の提供が追い付かず、約25%の顧客が注文を待っている状態で、購入までに約1カ月を要するという。
同店の店員は「地元の自転車店ということもあり、高齢者のお客様からヘルメットに関する相談が増えている。メーカーの生産が安定するまでは提供が難しいが、なるべく早く対応できるように努めたい」と話す。
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