横浜市訪問介護連絡協議会が5月17日、介護事業の現状や課題について把握する総会を神奈川公会堂=神奈川区=で行った。ヘルパー不足を解消しようと、訪問介護の仕事のやりがいを中学生に語る職業講話の実施に手応えを感じたことなどを共有。次世代の人材育成に向けた取組を進める指針を示した。
委員会設置で機運醸成
約450事業者が加盟する同会は横浜市の支援で設立した18区の連絡会が結集し、2013年に設立。企業の代表らが集まり、サービス提供責任者のスキルアップに関する取組のほか、ヘルパーの人材不足の改善などに努めている。
ヘルパーの資格取得にかかる研修費用を緩和する方法を市などに提言し、2019年、研修費用のほぼ全額がカバーできる助成制度「横浜市訪問介護等資格取得支援事業」が開始。介護業界の発展に貢献している。
4年ぶりに対面で開かれた総会では2023年度事業計画などを決め、22年度事業の成果を共有。市立田奈中学校=緑区=、岩井原中学校=保土ケ谷区=、六角橋中学校=神奈川区=で訪問介護に関する職業講話を行い、生徒から「人の役に立っているという実感が湧く」「高齢化が進み需要が高そう」などの反響が得られたことを発表した。若者の関心を高める活動を積極的に進めようと、新たに「職業講話委員会」を設置する議案も承認された。
総会後には、淑徳大学教授で社会福祉学者の結城康博さんの講演を実施。介護業界の経営状況に関する現状や人材不足の要因などが話され、介護現場で働く管理職らが聞き入っていた。
ヘルパーの高齢化顕著
昨年、同会が行った調査によると、市内のヘルパーの53%が60歳以上で高齢化が進む。団塊の世代が75歳を迎える25年には、市内で約8500人の介護人材不足が見込まれるといい、若者の人材育成が急務となる。介護サービスを提供した場合に、国から事業者に支払われる介護報酬は介護保険制度により、国が金額を定めていることもあり、企業努力だけで介護事業所の収入を増やすことは難しいという。
昨今、全国でヘルパーが利用者から性的暴行を受けるなどのハラスメントが社会問題となっており、働き手を守る労働環境の整備を進める取組が求められる。同会の正木光一代表=人物風土記で紹介=は「介護職員の待遇改善は行政からの支援が大きいが、人材不足の改善につながる活動は独自にできる。若い世代に働きかける活動を続けていきたい」と話す。
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