「子どもの頃から愛している味を守りたい」―。磯子区出身の佐々木実さん(43)はラーメン作りのノウハウが全くなかったが、2年前、後継者が不在で閉店の危機に立たされた浦舟町の「マンザイラーメン」を友人の寺尾和久さん(40)とともに引き継いだ。
同店は南区出身の加藤一夫さん(81)が磯子区にあった本店の「マンザイラーメン」から独立する形で1986年に創業。醤油豚骨ラーメンの専門店で、昼時は満席が当たり前の人気店だ。
加藤さんは創業以来、早朝から店で仕込みを行い、妻の光子さん(76)と2人でラーメンを提供してきたが、過去にバイク事故で負ったけがの影響や高齢を理由に2年前に閉店を決意した。
数カ月間に及ぶ説得
佐々木さんは小学生の時に本店のラーメンを初めて食べ、「濃厚なスープに衝撃を受けた」と虜になった。しかし、本店や他の独立店が全て閉店に。加藤さんが閉店を決意したことで、長年愛してきた「思い出の味」が二度と食べられなくなるという事態に直面した。
佐々木さんは「マンザイラーメンを失いたくない」との思いから、ラーメン店でのアルバイト経験があった寺尾さんとともに店を継ぎたい意思を加藤さんに伝えた。だが、ラーメン作りの難しさを知る加藤さんは首を縦に振らなかった。佐々木さんは何としても認めてもらおうと、数カ月間にわたり説得。加藤さんは熱意に押され、2人に店を任せることにした。
2人は2021年夏ごろ、加藤さんの下で修業を開始。スープ作りや麺を茹でる工程を一から学んだ。2人は茹でた麺を平ざるですくって湯切りをするのに苦労したといい、麺に見立てた糸こんにゃくで練習した。
21年9月9日、加藤さんが引退し、寺尾さんを店長とした新体制で営業を開始。佐々木さんは福祉の仕事と兼業しながら、寺尾さん、光子さんらとともに店を支える。佐々木さんは「先代のラーメンが基盤だが、臨機応変に味付けを調整するなど、自分たちの個性も出したい」と話す。イベントなどへの出店も目指し、「マンザイ」の味を広く発信していく。
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