民話紙芝居を手掛ける「ほどがや『えかたり〜べ』」の原画を描く 河野 充良さん 初音ヶ丘在住 78歳
「人に喜んでもらえれば」
○…「先祖は宮大工だったそうなんです。手先が器用なのかな」―。保土ケ谷区内に伝わる民話を題材にした紙芝居の絵と脚本を手掛けるようになったのは3年前。これまでに15作品を書き下ろした。アクリル絵具や油彩絵具、パステルなどさまざまな画材を駆使し、物語の世界観を描き出す。描いた作品がファイルにきれいに収められているところに、作品に対する思いを垣間見る。
○…福岡で戦時中に生を受け、幼少期から描くことを好んだ。小学1年生の時、家庭訪問で担任が母親に1枚の絵を見せ、こう話した。「良く描けている」。画用紙にまん丸のリンゴを描いた自身の作品。隣の部屋で遊んでいたが、その耳は母親と担任の会話に大きく傾いていた。「うれしかった」。少年の心に自信という小さな芽が顔を出した瞬間だった。
○…黒板に戦車や戦闘機を描き、級友を楽しませていたという少年にとって、絵を描くことはライフワークに。「ほかに趣味がないんですよ」。自嘲気味にそう話し開いたのが、可愛らしい動物たちがモチーフになったイラスト集。「いつか絵本を描きたい」。そんな夢を抱き、書き溜めていたキャラクター達だ。5年前、「ヘンテコリンのみずたまり」という名の作品を書き上げた。キャラクター達が紙上で駆け回る舞台は絵本ではなく紙芝居だった。
○…パソコンに「1行日記」を記すのがここ20年の日課。本を読み、気に入った文章をノートに書き留める。「ジャンルは問わない。字が大きくて読みやすい物がいい」。ユーモアを交えそう話すが、生み出された数々の絵や紙芝居の脚本の制作に活かされていることは間違いないだろう。「人に喜んでもらえれば、それでいい」。この一言に重みを感じる。
|
|
|
|
|
|