日本代表としてオセロの世界大会に出場する 大森 敬太さん 保土ケ谷土木事務所在勤 32歳
内に秘める攻めの姿勢
○…「一生に一度あるかないかの貴重な機会。子どもの頃から憧れてきた世界大会の舞台ですから、楽しみという気持ちよりもプレッシャーの方が強い」。オセロ競技歴は22年。多くの時間を費やしたどり着いた晴れの舞台でも、序盤から積極的に石をとり、相手の手を制限する「攻撃的な戦い」で世界に挑む。
○…9歳の時から盤面に向かう生活が始まった。有段者だった父親との対局は「こてんぱんにやられる毎日」。負けず嫌いの気質に火が付いた。「父に勝ちたい」。学校から帰ると夕食時まで入門書を読み込み、父親が居る時には対局を重ねた。翌年、初めて出場した大会で優勝までの道筋が見えた決勝戦で打った一手が忘れられない。最善手を見極めていたが、なぜか違う箇所に石を置いた。この一手が仇となり、形勢逆転。悔し涙が頬を伝った。「なにくそ」。競技者として高みをめざす転機だった。
○…妻と1歳半の子どもと3人で都内に暮らす。オセロは先の展開を読む力が求められ、時として20手先の状況を予測しながら一手を打つこともあるというが、「日常生活では先を読むことが苦手で」。屈託のない笑顔を浮かべそう話すが、盤面に向かうと「普段とは違う自分が出てくる」という。「対局では相手を『ここにしか打てない』という状況に追い込むことを考えている」。理路整然と語るその様は迫力すら感じさせる。
○…「単純と思われがちだが、実は奥が深い。ここがオセロの魅力」。ルールもわかりやすく、誰でも楽しめるメジャーゲームだが、競技としてはマイナーなことも事実。「強くなりない」。自身が少年時代に抱いたように、高みをめざす次世代のためにも、日の丸を背負い戦う世界戦での躍進が期待される。
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