保土ケ谷区歯科医師会(古田潤二郎会長)が、心身障害児・者の口腔ケアや歯科治療を拡充した。会員医院が窓口となり、必要に応じて障害者歯科専門医が常駐する横浜市歯科保健医療センターを紹介するという。同会地域医療担当理事は「障害をお持ちの方の中には歯科医院を受診するのを躊躇する方もいる。そうしたハードルを取り除く一助になれば」と話している。
障害福祉施策に係わる中・長期的な計画である「第4期障害者プラン」によると、人口に対する障害者手帳所持者割合は増加傾向にある。増加率はここ数年、約2%程度で推移しており、人口増加率よりも大きい状況だ。
歯科治療が必要にもかかわらず、障害の影響で長い時間治療台に座っていたり、症状を伝えたりすることが困難なため、受診をためらう人は少なくない。現在、(一社)横浜市歯科医師会では横浜市歯科保健医療センター(中区)で、一般の歯科医院では専門医らが対応が困難な心身障害児・者も含めた歯科治療を行っている。
専門のセンターは「高止まり」の状態
センターで治療を受ける障害者の人数は延べで年間9千人を超え、「高止まり」の状態だ。センターを受診するにはかかりつけ医からの紹介状が必要となる。障害の影響で意思疎通が難しい場合に行う麻酔管理下治療の場合、2、3カ月後の受診となるケースもあるという。
保土ケ谷区歯科医師会では訪問歯科に力を注いでいる。その中で障害者の歯科治療に潜在的なニーズがあると判断。障害によっては体動が激しく、通常治療に比べ注意が必要なケースやコミュニケーションが取りづらいなど、ハードルはあるものの、昨年から心身障害児・者の口腔ケアや歯科治療の拡充へ向けた準備を進めてきた。
地域のかかりつけ歯科医も障害者歯科診療を担うことで、歯科保健医療センターの負担軽減につなげようと、診察台へ座る、口を開ける、ブラッシング方法など、口腔ケアや治療を受けるためのトレーニングなどを中心に対応にあたり、高度な技術や設備が必要と判断した場合にはセンターを紹介する「窓口」となる。
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