横浜市がこのほど2024年度予算案を発表し、市独自となる出産費用の9万円上乗せ助成など、子育て世代への直接支援をさらに充実させる考えを示した。一般会計の総額は3年ぶりの増加となる前年度比0・7%増の1兆9156億円。予算案は1月30日の市議会定例会に提出された。
山中竹春市長は29日の記者会見で「市民のニーズの本質を捉えることが重要」とし、多くの市民調査に基づいて決定した施策による予算編成であると説明。「実感。子育てしたいまち」をキャッチフレーズに、子育て世代への経済支援や時間的ゆとりの創出、教育分野の支援に対し、全歳出の約35%にあたる6686億円を確保した。
市の調査で市内の公的病院の出産費用の最大値が約57万6千円だったことから、国の出産育児一時金(50万円)に市独自で9万円を上乗せ支給する事業を実施。出産時の経済的負担を軽減する支援として、20億5600万円を計上する。
紙おむつや寝具のサブスクサービス導入など保育園の持ち物を軽減する取組に6億2300万円を新たに予算化。仕事と子育ての両立が難しくなる「小1の壁」問題に対し、夏休み中の学童での配食サービスや小学校で始業前の預かりサービス提供のモデル事業などに149億5900万円を計上したほか、子育て応援アプリの運用や親子の居場所づくりの整備など、子育て世代への直接支援を盛り込んだ。
脱炭素の予算は前年度より約35億円増の80億8400万円と大幅に拡充。27年開催の横浜国際園芸博覧会までに全中小企業の脱炭素化への着手を目指し、企業や市民の行動変容を促す助成や取組を新たに行う。
また、地震防災対策の主な取組として約217億円を計上。全地域防災拠点への液体ミルクの備蓄を始める。能登半島地震を教訓に建物倒壊から身を守る防災ベッドや感震ブレーカーの普及促進の予算を増額している。
事業見直し、財源創出
市は政策局を「政策経営局」に再編し、データに基づく市政運営を戦略的に推進する指令塔として位置付ける。事業の見直しによる歳出削減や広告料収入などで153億円の財源を創出する。
市税収入は前年度比2・2%増の過去最高額8830億円。個人市民税の定額減税の影響を受けるものの、給与所得の増や企業収益の増、土地の評価替えや新増築家屋の増などで増収の見通し。市債発行額は前年度比82億円減の1066億円に抑える一方、ふるさと納税の個人住民税控除による流出は291億円に上る見込み。
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