3月1日から7日まで春の全国火災予防運動が実施される。2023年の保土ケ谷区の火災件数は31件で22年に比べて5件減少した。本紙では、保土ケ谷火災予防協会の森山元明会長と保土ケ谷消防署の堀田廣公署長に、火災を防ぐための対策などを聞いた。(進行/本紙・梅里大樹)
――23年の保土ケ谷区の火災件数が22年に比べて減少しました。区民の防火・防災意識が高まったといえるでしょうか。
堀田「22年は放火による火災が多く発生しましたが、消防だけでなく、警察や地域住民の方々による巡回や広報活動もあり、23年は減少しました。元々、保土ケ谷区民には防火・防災意識が高いという印象があります。地域住民の方々にも放火の危険性が高い場所を巡回していただき、『放火されない、放火させない』という環境づくりが成果に表れたと思います」
――23年は火災件数が減少した一方、焼損面積が増えました。火災を拡大させないためのポイントなどはありますか。
堀田「火災をいち早く発見し、火が小さいうちに消火することがポイントです。2011年に全国で住宅用火災警報器の設置が完全義務化されました。警報器は煙や熱を自動で感知し、火災の発生を音声などで早期に知らせてくれます。火災にいち早く気付き、初期消火を行うことで被害を最小限にとどめられます」
警報器の寿命 10年目安
――警報器に交換時期などはありますか。
堀田「火災に気付くのに遅れて亡くなってしまう人が後を絶ちません。警報器が設置済みでも、電池切れなどで正常に作動しなければ意味がありません。電池式の場合の交換目安は10年と言われています。点検用のボタンやひもで動作点検ができるので、定期的に確認することを推奨します。家電量販店やホームセンターなどで購入できます。最近では無線で別の部屋の火災感知を伝えてくれる機種もあります」
森山「保土ケ谷火災予防協会は昨年、秋の火災予防運動に合わせて、警報器200個を保土ケ谷消防署に寄贈しました。寄贈された警報器は区内在住の希望する75歳以上の世帯に抽選で配られました。今後も寄贈を検討するなど、住民の自衛意識を高める支援に取り組んでいきたいと思います」
小さな火種が命取り
――23年の出火原因で最も多かったのが「たばこ」でした。
森山「喫煙者の減少や電子たばこの普及などにより、たばこによる火災は減りそうですが、そうはなっていません。路上でたばこを吸い、火が消えていない吸い殻をポイ捨てする人をよく見ます。喫煙ルールを守らないのはもちろん、『こんな小さな火が火災の元になるはずがない』などの先入観が火災を引き起こす要因になっていると思います。ポイ捨てを止め、喫煙ルールを守ってほしいと切に願うばかりです」
堀田「たばこによる火災では、消したつもりでいた吸い殻から時間が経った後に出火してしまう事例も多く発生しています。吸い殻は水に浸すなどして火が完全に消えていることを確認してから捨ててください。寝たばこは、たばこが布団などに落下して火災になることがあり、大変危険ですので、絶対に止めるようお願いします」
防火意識向上を啓発
――春は火災が多いと聞きます。区民に向けてメッセージをどうぞ。
森山「火災予防協会は消防署と共催で、自治会町内会の代表者がスタンドパイプ式初期消火器具の使用法を学ぶ訓練会や、区内にある事業所の従業員などで構成される自衛消防隊が消火技術を競う訓練会を開催しています。大規模災害時、消防など行政による『公助』には限界があるはず。今後も関係機関と連携し、一人ひとりの『自助』『共助』の意識向上や住民のニーズに沿った活動に取り組んでいきたいです」
堀田「住宅では『こんろ』や『電気』による火災も多く発生しています。調理中はその場を離れない、電気器具やコンセントなどは普段から点検、清掃するよう気を付けてください。春先は、引き続き空気が乾燥し、加えて風の強い日が続くこともあり、容易に火が付きやすい時季です。まだ気温も低く、暖房器具の使用もあると思います。ぜひ油断せずに、引き続き出火防止に気を付けてお過ごしいただきたいです」
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