イグウェさんに市長賞
このほど行われた令和6年度よこはま子ども国際平和スピーチコンテストにおいて、中学生の部でイグウェケイト友菜(ゆな)さん(西谷中3年)が最上位となる市長賞に、小学生の部で吉田優さん(桜台小6年)が教育長賞に輝いた。
同スピーチコンテストは、市内の小中学生の国際平和への意識を高めることを目的に1996年度から開催されており、毎年約4万人が参加。「国際平和のために、自分がやりたいこと」をテーマに国際平和に対する思いを発信する。
ナイジェリア出身の父親を持つイグウェさんは、小学生の頃から体験してきた経験をもとに「先入観を持たないでほしい」とスピーチ。
市長賞に選ばれ、23日(金)に「よこはま子どもピースメッセンジャー」に委嘱されニューヨークの国連本部などを訪問し、平和への願いを世界に発信するイグウェさんは「自分の名前が呼ばれてびっくりしたけどうれしい。スピーチを指導してくれた先生も喜んでくれた」と笑顔を見せた。
また、吉田さんはNGO団体を通して家族で支援をしているコンゴ民主共和国に住む4才の女の子をテーマに、スピーチを読み上げた。教育長賞について吉田さんは「本番当日はとても緊張したけれど、自分が伝えたい想いを精一杯スピーチに込めた。これから子ども実行委員として活動することになるが国際平和やSDGsについてさまざまな価値観に触れて学んでいきたい」と語った。
イグウェさんのスピーチ内容は以下の通り。
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『知る責任と語る責任』
私は通りすがりに、たくさんの視線を浴びます。私は有名人ではない、いわゆるハーフです。今まで、私はこの無意識の視線に何度も傷つけられました。
私は自身の容姿から、先入観をもって見られることがあります。アフリカ系の父をもつこともあり、スポーツ面で注目されることが多いです。私は、周囲の期待を裏切りたくないという気持ちから、二年生の時に陸上部をやめてしまいました。アフリカにルーツをもつ人は誰もがアスリートではありません。
実は私も以前、無知による偏った見方をもっていました。小学生の時、貧困についての作文を書き、全校児童の前で発表したことがあります。作文する過程で、父から祖国ナイジェリアの実態を聞きました。多くの日本車が走り、高層ビルが立ち並ぶ様子は、私の想像していた貧困地域のアフリカとは全く異なっていました。その後、調べた国際機関のデーターからも、勝手なイメージではその地域を判断してはいけないことは明白でした。
この経験から、人は意識せずとも貧困や人種に思い込みをもつことがあり、正しい情報を基に理解することが大切だと分かりました。そして、このような偏見をなくすために、知り得た情報を発信すべきだと強く感じました。
私の中学校では、昼休みにAETの先生と英語好きの生徒中心に、国際ラウンジが開設されました。様々な国の生徒も加わり、お互いの国の様子を知るために、会話を楽しんでいます。また、友達に外国の状況に興味をもってもらう活動もしています。それぞれに文化や、私のように海外にルーツをもつ人が日本で困ることなどを載せたポスターを作成し、全校生徒が通る場所に掲示しました。私自身についても発信することで、今までの苦しかったことが解消され、偏見のない世界づくりの一歩につながった気がしました。
私は、どのような人でも堂々と生きていける世界を作っていきたいです。他とは違うことで、偏った視線を感じたことを聞いて欲しいです。私にとって、肌の色はアイデンティティ。これからも、自信をもって私を語りたいです。そして偏見や差別を少しずつ解消していきたいと思います。
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