日蓮宗樹源寺 権住職 日比(ヒビ)宣仁(センジン) 連載44 法話箋 〜鹿苑〜 「如来蔵思想」
釈迦(前四世紀頃)以前のウパニシャッド哲学では既に自性清浄心思想(じしょうしょうじょうしんしそう)が説かれます。生まれつき、人の心には清浄(しょうじょう)なる性質があるとする思想です。これは仏教に導入され、三世紀頃には如来蔵(にょらいぞう)思想(しそう)と呼ばれるに至りました。如来蔵とは、人は心の中に如来(つまり仏)の性質を蔵(ぞう)しているという意味です。それでは、自性清浄とか、仏の性質とは何かというに、これは周囲との調和を楽(のぞ)む心です。私たちは日々、人間関係の中に生きていますが、良くも悪くも、相手にどう思われているか、相手に自分の意思が正確に伝わっているか、相手との関係をより良くしたい等(など)と悩んでいます。こういった悩みがあることは、逆に言えば周囲との調和を願っている証拠です。人間関係で悩んでいる時こそ、心の中の仏の性(さが)が活動し、心が成長していると見るべきでしょう。そういった悩みに向き合うことは心の中に隠れている仏の性質を引き出し、成仏に至る為(ため)の修行になっているのでしょう。
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