日蓮宗樹源寺 権住職 日比宣仁(ヒビセンジン) 連載47 法話箋 〜鹿苑〜 「作業興奮と精進」
無関心な仕事や作業をやらなければならない状況に直面した時、まずはそれらの作業に手をつけてみることが大事でしょう。面倒くさくても、一旦手をつけて、少しだけ丁寧にやろうとする心を起こしてみるべきでしょう。すると、いつの間にか、没頭して、ささやかな楽しささえ感じる場合があります。ドイツの精神医学者であるエミール・クレペリン(一八五九〜一九二六)は、こういった精神作用を「作業興奮」と呼んだそうです。生きていると、やらなければならない面倒なことが降りかかってきます。しかし、それらから目を逸らすのではなく、取り組むことが肝要だと思います。仏教では、取り組むことを「精進行(しょうじんぎょう)」と呼び、菩薩(ぼさつ)(仏を目指す修行者)の修行として位置付けます。精進は、努力とも同じ意味です。気合いを入れて最初の一歩を踏み出せば、自ずと「作業興奮」し、目の前の作業に向き合って努力すれば、「精進行」を成就し、心の安定をはかることができるでしょう。
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