江戸時代からつづく川島町の農家・三村大輔さんが栽培したぶどうを原料にした「地場ワイン」が完成した。アーリースチューベンという品種を使い醸造されたワインは、イチゴのような甘い香りで、渋みが少ないテイストに仕上がった。
明治から昭和期にかけて保土ケ谷域にはぶどう畑が散在していたという。1902(明治35)年には現在の峯小学校近くに「皇国葡萄酒醸造所」が建設され、戦前まで皇室御用達の「皇国葡萄酒」を醸造していた。
保土ケ谷産のジャガイモを原料とした地場焼酎づくりに携わる区民らのグループは「新たな地場産品を生み出そう」と「横浜市保土ケ谷区産のワインを造る会」を立ち上げ、一昨年から「地場ワインプロジェクト」が始動。区内では唯一ぶどうを栽培している三村さんが原料を提供し、小規模ながら地場ワインづくりへの挑戦が始まった。
難局乗り越え銘醸地で醸造
「試作段階」を経て醸造本数を増やそうと動き出した矢先、試作品の醸造を依頼したワイナリーが小ロットの醸造を引き受けなくなったことが判明。この危機を打開すべく酒販組合の関係者が奔走し、日本ワイナリー協会などに掛け合った。
この動きに「地域振興を目的としたワインづくり」というプロジェクトが掲げる趣旨に賛同した日本を代表するワイン銘醸地・山梨県勝沼の「東夢ワイナリー」が醸造への協力を受諾。頓挫しかけた地場ワインづくりプロジェクトは難局を乗り越えた。
「来年は倍に」
原料となるアーリースチューベンは糖度が高く酸味が少ない品種で、贈答品として人気だが、三村さんはワインの原料とするためあえて「種ありぶどう」として栽培。昨年8月末に約200kgを勝沼に運び込み醸造作業が進められていた。
完成したワインは180本。当初は一般販売も予定されていた川島町産のぶどうを使った「地場ワイン」は話題を集め9月中旬から予約が相次ぎ、完成前に完売したという。
三村さんは「1人ではできなかったこと。会のメンバーやワイナリーの方々に感謝したい」とラベルが貼られたボトルを手に感慨深げに話し、「来年は倍は作りたい。ワイン用の品種のぶどうの栽培も考えていきたい」と次なるステップも展望した。
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