新井町にある障害福祉サービス事業所「風の丘」(運営/社会福祉法人白根学園)で働く知的障がい者らにより制作される「白根だるま」の制作が最盛期を迎えている。1月のだるま市に向け1体ずつ手作りで丁寧に仕上げている。
知的・身体障がい者が在籍している風の丘ではボールペン組み立てや封筒製作、パソコンの解体などの業務に60人が従事している。その業務のひとつが「白根だるま」の制作。その歴史は50年ほどになる。
手掛けるのは高さ10センチメートル・幅11センチメートルの1号だるまから、高さ43センチメートル・幅37・5センチメートルの15号まで16種類。招き猫や干支だるま、おにぎりだるま、豆だるまなど、バラエティに富んだ商品を生み出している。
毎年1月28日に旭区の白根神社・白根不動尊で開催される「だるま市」で販売されるだるまは「風の丘」で制作されたもので、毎年、行列ができるほどの人気だ。
職人に教え乞い基礎を習得
白根神社氏子会が主催する「だるま市」は新春の風物詩となる祭事だが、一度、途絶えてしまった歴史がある。これを惜しむ声が地域から上がり、当時、開所したばかりだった同学園では「地域に何か貢献できないか」と白根だるまの制作を開始。これを機にだるま市が復活した。
だるま作りは本来、門外不出の技術とされるが、当時、風の丘のスタッフらは、だるま制作にあたり、相州だるまの元祖で明治時代から伝わる「長嶋家」(平塚市)に通い詰め、教えを乞い、だるま作りの基礎を習得。利用者が製作できるようにオリジナルの製法へと移り変わった。
大きなものは完成まで1カ月
現在は20代から60代の利用者15人が作業に従事。素材となる紙製の卵パックを1日4時間、手やシュレッダーで細分化し、水に浸し成型、自然乾燥の後、再び成形する作業を繰り返す型作りには1週間を要する。
その後、色を塗りやすくするため上張り用の紙をだるまの型に、重りとなる粘土を底に貼り付ける。その上で下塗り、上塗りの工程を経て仕上げの「顔書き」。全ての工程が手作業で、15号のだるまが完成するまでには1カ月かかるという。
年間600体
手間暇かけ完成させるだるまは年間600体を超える。白根のほか、緑区の鴨井林光寺のだるま市や横濱酉の市などにも出品されている。施設長の奥典彦さんは「重度の障害を持つ利用者も含め、作業を分担することでだるま作りを進め、社会参加に繋がっている。多くの人に手に取っていただければ」と話している。
問い合わせは風の丘【電話】045・372・4880へ。
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