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保土ケ谷区版 公開:2024年2月15日 エリアトップへ

新井町 全焼の稲荷神社 再建へ 失意し3年、世話人ら奔走

社会

公開:2024年2月15日

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新たな本殿の基礎を前に思いを語る稲荷神社の代表世話人・金子さん
新たな本殿の基礎を前に思いを語る稲荷神社の代表世話人・金子さん

 2020年11月24日の夜中に出火し、全焼した新井町の稲荷神社が再建へ向け動き出した。今年1月末に地鎮祭が執り行われ、今月中には棟上げの予定。6月には竣工する。焼失から3年余りの時を経て、新井町に氏神様が戻ることになる。

 町内が静寂に包まれた「丑三つ時」。神社は炎に包まれていた。保土ケ谷消防署警防課によると、午前2時10分ごろの出火だと考えられるという。「放火の疑い」が強いとされている。

 代表世話人の金子久夫さんは神社近くに暮らす親類からの電話で発火を知った。「神社が火事だ。早く来てくれ」と受話器から聞こえる声色を今でも鮮明に記憶している。神社へ上る階段下にたどり着くまでの間の記憶は全く無いという。

焼け焦げた柱だけ

 近隣区からの出場も含め20の消防隊と地元消防団が懸命に消火活動にあたり、3時54分に消火。しかし本殿は全焼し、焼け焦げた黒い柱だけが残った。

 稲荷神社は江戸時代に新田開発した際に創建されたという。以来、新井の地に暮らす人々の氏神様だ。正月は初詣に参拝する地域住民で溢れ、どんど焼き、夏祭りと新井町の住民にとって「心の拠り所」だった神社本殿を火事で失い、世話人らは失意に暮れた。

「俺らの世代でやらなきゃ」

 「参ったな。建て直したいけど、どうすれば良いのだろう」。世話人らは話し合いを重ねた。導き出した答えは「次の世代の人たちに引き継ぐわけにはいかない。俺たちの世代でやらなくては。再建するなら今しかない」。12人の世話人の思いが一つにまとまり事態は動き出した。

 再建工事は地元の工務店に依頼。建設費用の大半は世話人の持ち出しで賄うことになるという。金子さんは「一人ひとりは小粒でも、思いを共にする仲間が集えば事態は打開できる。生き様だよね」と話し、再建に向け足並みをそろえる。

 1月末に地鎮祭が執り行われ、2月中に上棟。6月中の竣工予定で工事が進められている。竣工後、御霊入れ式を経て、正式に稲荷神社が再建され、新井町の氏神様が復興することになる。

全焼し黒い柱だけが残った神社〔提供/新井町消防団〕
全焼し黒い柱だけが残った神社〔提供/新井町消防団〕

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