日蓮宗樹源寺 権住職 日比(ヒビ)宣仁(センジン) 連載43 法話箋 〜鹿苑〜 「日本仏教に内在する中国文化」
初期の日本仏教(日本への仏教伝来は五三八年、古墳時代)の内容は、朝鮮半島から齎(もたら)されたものでした。飛鳥時代乃至奈良時代になると、遣隋使(けんずいし)(第一回遣隋使は六〇〇年、推古天皇による)に伴い、中国から直接、諸々の仏教典籍・美術品・仏具等が日本に輸入されました。それ以降の日本仏教は中国仏教を基盤として、日本独自の発展をしました。日本仏教の根底には中国仏教の思想文化が脈打っているのです。仏教はインドで成立し(釈迦は前四世紀頃)、シルクロードを伝ってタクラマカン砂漠周辺諸国(西域(さいいき))を経由し、中国に至りました(中国への仏教伝播は紀元前後、漢代)。中国の人々は、中国土着の儒教(じゅきょう)・道教(どうきょう)の概念を介してインド由来の仏教思想の理解を試みました。すなわち、中国で培(つちか)われた仏教には自ずと儒教・道教の思考が入り込み、それは日本にも至りました。例えば、日本での先祖崇拝の観念は儒教から、位牌供養は道教からの影響と考えられます。
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