上末吉2丁目と矢向1丁目をつなぐ鶴見川水管橋の撤去工事が、1月9日から始まった。一日で約700人が通行する生活道として60年以上利用されていたため、近隣住民らは人道橋の新設を望んでいる。
老朽化で存続不可
川崎市所有の水管橋は、末吉配水池から川崎市内へ配水する水道管「2号配水本管1200㎜」の一部として、鶴見川を横断するため、1954年に建設された。建設当初に地元住民の要望を受け、川崎市が点検用道路を開放。上末吉側の住民にとっては汐田総合病院への通院路、矢向側の住民にはコープへの買い物経路などとして長年活用されてきた。
しかしながら経年劣化が進み、耐震診断の結果、橋脚の耐力不足などが明らかとなった。川崎市は補強による存続は困難と判断し、川の流れを阻害するため河川法にも抵触することから5年前に撤去を決定。昨年度、鶴見川の地下に水道管を新設した。
最大900m遠回り
水管橋が撤去されることで、鶴見川を越えるには約900m上流の末吉橋か、約600m下流の新鶴見橋まで遠回りする必要がある。特に矢向地区や江ヶ崎地区の住民にとっては、広域避難場所が三ツ池公園となっていることから、避難経路の確保が大きな課題となっている。
加えて、従来の水管橋は道幅がおよそ1mしかなく、江ヶ崎町内会の黒川治宣会長は「災害時に矢向や江ヶ崎の住民が殺到したらパニックになってしまう。しっかりとした道幅が必要」と課題を指摘。昨年一月には上末吉地区自治連合会、矢向一丁目町内会、江ヶ崎町内会の連名で、人道橋新設を求める要望書を横浜市へ提出していた。
今年度中に必要性判断
横浜市は住民らの要望を受け、今年度から設置へ向けた調査を開始。交通の便やまちづくり、防災の観点から必要性を現在検討している。横浜市道路局橋梁課の担当者は「隣の橋までの間隔が広いという課題は認識している。今年度中に必要性を判断したい」と話しており、引き続き調査を進めるという。
撤去工事は来年6月に完了予定。矢向一丁目町内会の佐野勝一さんは「新横浜や区役所へのバス乗り場は対岸だから不便」と漏らす。上末吉一丁目町内会の越水紀久子会長は「尻手駅への通勤路が無くなって困っている人もいる。地域交流の観点からも、もっと広い安全な橋にしてもらえたら」と話した。
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