高齢化が進み医療需要の増加が見込まれる中、横浜市は独自に保有する医療ビッグデータ「YoMDB(ヨムディービー)」を活用した実態分析に本格的に取り組んでいる。また、この結果をまとめた論文がこのほど、国際的に著名な医療学術雑誌に掲載。外部の専門家からの評価を受けたことで、今後、信頼性の根拠を得た分析結果が政策立案に生かされていく。
横浜市の推計では、市の人口は2019年にピークを迎え、65歳以上の高齢者の比率が24・8%になる見込みだ。高齢化が進み医療需要が増加する中、市は限りある財源や医療資源で実効性のある政策を立案するため、医療ビッグデータの活用に乗り出している。
国際的に評価
市の政策を進める上、医療の現場では医療従事者が納得できる客観的なデータが必要となる。市が保有するビッグデータ「YoMDB」は、国民健康保険や後期高齢者医療制度などの情報をデータベース化したもので、特に高齢者の分析に効果的とされている。市医療局は同データの信頼性の裏付けを得るため、国際的に著名な医療学術雑誌への掲載を目指し昨年5月から、データを分析しまとめた論文の作成に取り組んできた。論文作成に中心的な役割を担ったのは、横浜市立大学から医療局に出向している鈴木幸雄医師。分析によると、2035年の在宅医療需要は15年比で2倍超となることなどが示されている。鈴木医師は「今後の政策立案に向け、YoMDBや分析結果の客観的な信頼性を高めたかった」と思いを語る。
介護データと統合へ
市は今後、分析結果などを踏まえ「在宅医療の体制整備」「市内で在宅医療を担う医師を養成」などのほか、新たな市民生活に有効な政策立案に取り組む。また、「YoMDB」に介護データを統合し、来年度から医療と介護を一体化したデータの活用を目指す方針だ。「どのくらい在宅医療の整備が必要かなど、客観的なデータがあることで検討を深めていける」と医療局担当者は話す。
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