傷だらけだった江ヶ崎八幡神社の狛犬が職人の手で修復され、このほど元気な姿で戻ってきた。
狛犬は、1788年、鶴見村出身で、高い芸術性から横浜の名工と呼ばれた飯嶋吉六によって作られた。飯嶋吉六は江戸時代から11代に渡って受け継がれた石工集団の親方の名称。150以上あるとされる吉六の作品の中でも、同神社のものが現存する最古の狛犬とされる。
災害やいたずらなどで足や台座が壊れ、痛々しい姿になっていた狛犬。同神社の世話人らが、修復に向けて尽力。偶然にも、飯嶋吉六の作品に魅了され、境内で模刻(もこく)をしていた石の彫刻家・高家理さんと出会い、修復が実現した。
大きく修理されたのは、口の空いた阿形(あぎょう)の台座と、口を結んだ吽形(うんぎょう)の前肢。失われた部分を粘土で創り出し、石膏で型取り。それをもとに、石を切り出して彫刻し、接着するという根気のいる難しい作業だった。福島の工房で、約1年3カ月という時間をかけて完成に至った。
「生きている」
「新しいものに取り換えてしまえば安く済むし、手間もかからない。だけどそれはしたくなかった。世話人みんな同じ気持ちだよ」。狛犬を置いた願主(がんしゅ)の子孫である鴨志田潔さんは話す。
高家さんは「良い彫刻は、針を刺したら血が噴き出るような、まるで生きているリアルさがある。それをこの狛犬には感じた」とし、黒川治宣総代は「この狛犬は、この地域の文化財といってもいいもの。節目の年に、歴史的価値の分かる人の手で丁寧に直してもらえて本当にありがたい」と感謝を述べた。
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