新型コロナウイルスの影響で、横浜市内の観光産業の低迷が続いている。市内ホテルの平均稼働率は7月も4割前後と見込まれ、集客のための大型催事は延期・中止が460件に上るなど苦しい状況だ。ホテル関係者は、「国のGoToトラベルキャンペーンの恩恵はあるが、通常には遠い」と漏らす。
市によると、市内約40の主要ホテルの平均稼働率は、緊急事態宣言中の5月に20・9%と過去最低を記録。6月は36・9%で増加したものの、最新の7月も「4割に届くかどうか」とする。
国際的な会議や大型催事などで集客を担ってきたパシフィコ横浜=西区=、横浜アリーナ=港北区=の2施設も、8月現在で460件の催事が延期・中止。いずれも稼働予定は前年の5割ほどとなっている。
各ホテルは、近隣の観光チケット付きプランや、ホテル内で楽しめるプランを打ち出すなど自助努力で集客を図るが、「思うように伸びない」と厳しい。GoToについては「恩恵はある」というホテルがある一方、「限定的」という声も聞かれるなど、エリアや立地によって反響に違いが出ているのが実情だ。
半額助成の支援策
こうした状況の中、さらなる落ち込みを食い止めようと、市は5億円の予算を計上し、独自の観光宿泊支援事業「Find Your YOKOHAMAキャンペーン」をスタートした。
半額を助成する体験型の日帰り商品と、宿泊促進の割引クーポンを展開。国のGoToと併用可能な商品もそろえる。10月以降には、市内事業者から公募した集客イベントの実施も予定。
販売は2月末までで、利用目標は日帰りツアー4・3万人、宿泊1・7万人を見込み、市は「感染防止策を徹底しながら、下支えしたい」と意気込む。
事業を実施する(公財)横浜観光コンベンション・ビューローによると、滑り出しは上々で、冬に向けて商品を充実させながら、プロモーションも強めるという。
また、新たな観光資源の発掘も目ざすとし、「市全域から可能性を探り、コロナ後にもつなげたい」と話している。
地域の視点で魅力資源化を
横浜商科大学=東寺尾=商学部観光マネジメント学科の秋山友志准教授は、市のキャンペーンについて、「効果がないわけではないが、現状だけでは大手や有名な部分のみなので不足感は否めない。周知も含めて、今後の盛り上がりに期待する」と評価する。
「事業予算的に難しいと思うが」と理解を示しつつ、飲食や宿泊をはじめ、観光にかかわる業種はすそ野が広く、中小の事業者や個人のゲストハウスなどはさらに厳しい状況だと窮状を明かす。
そのうえで、「観光もまちづくりの手段」とし、「コロナ禍での行動範囲の制限は、地域の人が受け入れ側の視点に立つ良い機会」と指摘。魅力を再発見して、資源化することを提案する。
「横浜は都市部と郊外のバランスが良く、370万人というマーケットもある。地域観光をキャンペーンに加え、まずは地域を回していくのが良いのでは」と話した。
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