コロナ禍で大きな打撃を受けている飲食店。工夫を凝らしながら営業を続けている鶴見駅近くの2店舗を取材した。
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鶴見中央で人気の海鮮料理屋「魚春ととや」。創業31年、同じ運営母体である下野谷の魚屋「魚春」は100年を超える老舗。そんな歴史ある店舗も、コロナ禍で大きな影響を受けている。
駅近で、サラリーマンの利用が7割ほどを占めていたという魚春ととや。テレワークも進んだことで、駅周辺の人手は減り、仕事帰りの飲み会もなくなった。コロナ禍で月の売上は良い時でも昨年比3割減。半減以上の月もあった。それでもお弁当のテイクアウトを始めるなど工夫し、国の飲食店応援事業である「GoToイート」もあった昨年の10月は8人ほどの会食が入るなど、「少しずつ戻ってきた」と回復の兆しを感じていたという。
しかし、秋を過ぎ訪れた第3波。繁忙期であるはずの12月は宴会キャンセルが相次いだ。魚春もお通夜などで出していた大皿料理の依頼が激減。店舗統括の永井寛子さんは「厳しい。続けられない店も増えてくると思う」とつぶやく。
人の温かさに触れ
苦しい中でも感じたのは、人の温かさ。こんな時だからと、一品多く頼んだり、応援の言葉をくれる人がいた。さらに、企業と飲食店が一緒になって作ったテイクアウト情報冊子「うちメシ応援プロジェクト」など、区内全体で飲食店を応援する機運が高まった。
永井さんは、地域の取組にも主体的に協力し、他の飲食店への情報提供なども積極的に行う。来店客からのアドバイスなども進んで試していく心構えだ。「あの頃はよかったじゃ前に進めない。何もやらなくても苦しいのだから、新しいことをするチャンス。皆で助け合えるといい」と前を向いた。
「わいわい賑わう店」 夢見て
鶴見駅西口すぐのスペイン料理店「PEKOPEKO」は、緊急事態宣言中の昨年4月にオープンした。一昨年の12月から準備を進め、工事開始は3月。コロナがまん延してきていても、後戻りはできなかった。
オープン1週間前からテイクアウト用のチラシを店頭に置き、用意していた花輪は自粛。予定していた招待会も中止し、こじんまりとした開店となった。
初めは売上の6〜7割がテイクアウト。しかし、包装に手間がかかり、お酒の注文はないため、イートインよりも売り上げは見込めない。「店内対応しながらなので、正直きつい部分もあった」。6月からは店内客が増え、政府の応援事業もあり状況は以前よりも良くなった。「いけるかも」と思っていた矢先、12月に入って自粛傾向が強くなった。
同店では5人以上の宴会は自主的に断っている。「入れたい気持ちはもちろんあるが、周りの目もある。将来も考えて今は辛抱するしかない」と塩田貴樹店長。本来目指していたのは、本場スペインのようなわいわいと賑わう店だ。「飲食を気軽に楽しめるようになることを信じて、できることをやっていく」。
![]() 透明板で仕切られたペコペコの内装
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