市有地を暫定的に広場として活用し、北寺尾の住民に長年親しまれてきた「町のはらっぱ」が「北寺尾六丁目サムエル公園」として整備され、7月29日に開園式が行われる。一時は管理困難で土地売却も検討されたが、住民の要望を受けて市が緑地としての広場存続を決定。新しい公園には防災機能も備え、さらなる住民交流の場として期待されている。
地域に住民が集える場所の少なかった北寺尾町内会で、市有地だった同所を活用しようと同町内会が市に申し入れ、運営委員会を立ち上げて管理するようになったのが1993年。「町のはらっぱ」として毎年夏には納涼祭が開かれるなど、地域住民に親しまれてきた場所だった。
しかし、同地の排水不良問題や運営委員の高齢化などで広場の管理が困難に。2019年には廃止届が提出され、市は土地の売却も検討していた。
そのような状況の中、同町内会は「地域にとって大切な場所。なんとか一部だけでも残せないか」と20年に当時の鶴見区長に要望書を提出。市も検討を重ね、市有地売却に伴う財源確保と貴重な緑地の維持を両立させるべく、「横浜みどりアップ計画」の事業を活用。一部は売却するが、これまで広場として利用されていた部分を公園として整備することを決めた。
防災機能も整備
昔、この周辺に同名の教会があり、公園名の由来にもなっている。
新たな公園には緑地だけでなく、災害時にトイレとして活用できるマンホールや、炊き出し時にかまどとして使える「かまどベンチ」など、防災機能も整備されている。スロープや駐輪スペースもあり、住民が集いやすい公園になっている。
既に公園愛護会も立ち上げられ、同町内会で維持管理していくことも決定している。同町内会の磯ヶ谷輝夫会長は「広場が残り、公園として整備されて本当にありがたい。夏の納涼祭はもちろん、改めて住民の憩いの場として親しまれる場所になってほしい。また、防災設備も有効活用できるよう、今後の地域の防災訓練の内容にも盛り込んでいきたい」と思いを語った。
開園式は7月29日の午前10時から同所で。その後、一般利用ができるようになる。
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