鶴見大学片山教授 川端康成の未発表作発見 18日から図書館で公開
鶴見大学の片山倫太郎教授=人物風土記で紹介=がこのほど、『伊豆の踊子』『雪国』などで知られる文豪・川端康成(1899〜1972)の未発表原稿『勤王の神』を確認した。原稿は現在、同大図書館が購入し所蔵しており、2月18日から公開される。
片山教授は、同大で日本近代文学を指導。古書店の取り扱い商品などを写真付で掲載した目録を見ていた他の教員から、「川端康成の原稿がある」と教えられたのが始まりだった。
片山教授は、「タイトルなどを見た限り、見たことがない」ことや筆跡などから、本物の未発表原稿だと判断したという。
没になった雑誌原稿か
『勤王の神』は、江戸時代に禊(みそぎ)教と呼ばれる神道を宣布した井上正鉄の伝記。400字詰め原稿用紙21枚に直筆で執筆している。執筆時期は特定できないが、1枚目の用紙に「3年12月26日」と記されている。片山教授によると、「昭和4年ごろから7年まで川端が作品を掲載していた、大衆向けの読み物雑誌に掲載予定だったが、没になったものではないか」という。
伝記的な価値
さらに、片山教授の調査によって、『勤王の神』は、大正時代に出版された本を引き写すようにして書いていることもわかった。
片山教授によると、原稿執筆が昭和3年ごろとすれば、当時川端は29歳の新人作家。「もともと川端は、引用しながら作ることが多い作家だが、ほぼ内容が同じ。まだ新人で仕事も少なく苦しい経済状況にあったという話もあり、ネタにつまっていたのかもしれない」と片山教授は分析する。
「川端がどんな暮らしをしていたのかなどを知ることができる、伝記的な価値のある資料」だと片山教授は話す。
原稿は、同大図書館で2月18日から3月2日まで公開する。時間は、午前8時50分から午後8時まで。土曜は午後6時まで(3月は短縮開館あり)。日曜休館。問い合わせは、同館【電話】045・580・8274。
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