鶴見大学・鶴見大学短期大学部の新学長として手腕をふるう 伊藤 克子さん 中区在住 69歳
走り続ける「教員人生」
○…大本山總持寺が創設し、短期大学として61年、大学として51年。史上初の女性学長となった。これまで高名な僧侶や仏教学者が就いてきた学長の職。「まさか自分がなるなんて」。依頼された気持ちを素直に振り返る。總持寺を開いた瑩山禅師も、鎌倉時代にありながら女性を積極登用したと言われる人物だった。「選んで頂いた皆さんの大英断。何かを変えてほしいという思いが伝わった」
○…岩手県盛岡市生まれ。高校卒業後に上京し、大学では運動好きが高じて体育を専攻した。1967年、当時の鶴見女子大学に、教員として採用され、以来、ほとんどの教員人生を鶴見大で過ごした。実は「女性初」は今回が二度目。一度目は鶴見大と同じく、学校法人總持学園が運営する附属高校・中学校の校長だ。2006年から10年まで務めた校長職時代には、同校の共学化や校舎新築など、変化の先頭に立った。
○…「引っ越すときは、図書館とジムに近いところに」。読書と運動が息抜きだ。特に図書館通いは独身時代から続く習慣。ジャンルは決めず乱読する。「コーナーごとに1冊ずつ借りていくの。借りたものなら全部読まずに返せるでしょ」。好みは内容より文体。人に薦められた本もなるべく読み、「本の内容でその人がどんな人かを考える」といたずらっぽく笑う。
○…東日本大震災後、一度は94歳になる母と住むため、岩手に転居する準備を進めていた。「母には『まだ頑張るの?』と言われた」。45歳で夫を胃がんで亡くした後も、駆け抜けてきた教員の道。「巡り合わせ。できると思って依頼してくれたのだから、やってみるかと」。入学者数の増減が二極化している時代。「今頑張らなければ生き残れない」。伸びている大学があれば、調べもする。「学びの本質は人から人。学習の意欲に火をつけるのは先生や授業。うちも捨てたものじゃないですよ」。育ててくれた鶴見大へ、恩返しの日々が始まった。
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