「彩の会」会主として、10周年記念行事を仕切る 羽村 彩子さん 尻手在住 71歳
難病はねのけ歌声届ける
○…歌と踊りの習い事教室「彩の会」を立ち上げ、講師を務めて10年。5月に会員の発表会を兼ねた周年行事を開く。「今、お年寄りの行き場がなくなりつつある。ストレスを発散しながら集える場所があれば」と立ち上げた同会。視力低下、呼吸困難、不整脈などをもたらす難病「サルコイドーシス」を抱えながらも、区内の高齢者施設を慰問するなど、歌を通して高齢者に安らぎを届けている。
○…「頼れるのは自分しかいなかった」という幼少時代。戦後間もない頃、家族を飢えさせないようにと、親元を離れて働いた。「苦しい時、裏山に向かって歌った。おかげでこの声が出来上がったのかも」と振り返る。中学卒業後、生まれ故郷の栃木を離れ、尻手の理容室に就職。人気店として地域に親しまれた。60歳で通い始めた歌の教室のコンテストに、わずか9カ月で優勝。「『あなたは教える人だ』と先生に言われた」。「彩の会」を立ち上げたところで、難病が発覚した。
○…明るい表情の裏に、病巣は潜む。3年前から年に1回、心臓発作で入退院を繰り返している。右目はほとんど見えていない。原因不明のため、効果的な治療法が存在しないのが現状だ。「何で私だけが」と悲観することもあるという。それでも、「大丈夫、私ならできる」と立ち向かえるのは、子どものころから家族を支えてきた苦労があってこそ。「『おしん』より苦労したんだから。怖いもの知らずなの」。NHKの連続ドラマを引き合いに、にっこり笑う。
○…「国内旅行で箱根に行きたい」と漏らしながらも、まだまだ会の活動には力を入れる。高齢者施設への慰問ボランティアも、今年から再開。「会員と歌うと、涙を流してハグしてくれる。行ってあげないと」と意気込む。「世の中に苦しんでいる人はたくさんいる。今からでもいいから没頭できるものを見つけて」。難病に負けず、歌声にのせて救いの手を差し伸べる。
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