横浜市はこのほど、2013年8月に死亡事故が発生した区内生麦の生見尾踏切の安全対策について、踏切を廃止して17年をめどにこ線人道橋を建設するとしていた当初案を変更し、工事期間中は踏切を存続させる新たな計画を策定したことがわかった。同踏切の整備をめぐっては、生活道路として活用している住民らが踏切廃止に反対し遅れが生じていた。変更により、両者総意の安全対策については進むことになるが、市側の踏切廃止の考えは変わっておらず、住民らはなおも反対の声をあげる。
生見尾踏切はJR京浜東北線、横須賀線、東海道線の上下6線にまたがり、全長は約40mにおよぶ。死亡事故は、13年8月、近所に住む88歳の高齢男性が渡りきれずに発生。市はそれを受け、踏切を廃止し、真上にエレベーター付の歩道橋を建設するとしていた。
並行して架設へ
市は住民説明を行いながら、当初案の施工効率を高めるため、踏切横の用地取得の交渉を実施。地権者から協力を得られたことで、今回の変更案につながった。市道路局は「色々な角度で検討した結果、早期の安全対策を図るために判断した」と説明する。
変更案は、取得した用地を使い、20人乗りのエレベーターを南北に2基ずつと、斜路付階段を設置。橋部分は踏切真上から横にずらし、京急生麦駅舎に直結させる。現在あるこ線人道橋は撤去する。
今後はJRと計画変更の協定を結び、着工時期を検討する。市は工期について、地下にあるケーブル等の移設に1年、工事に2年かかるとみており、その間は踏切を存続させる方針。
市道路局は「踏切がある限りリスクは残る。安全対策を進めながら、丁寧に説明していく」と話す。
安全優先には理解
踏切存続を訴える生麦第二地区連合会や地元商店会らは、変更案に対し、「早期の安全対策としては一歩前進だ」と、新設するこ線橋部分は評価する。
一方、踏切廃止が前提にあることには、反対の姿勢を貫く。同連合会の杉浦節子会長は、「郵便局や金融機関に行くためなどに使う、昔からの生活道路。街の分断につながる」と憤る。
変更案を受け、同連合会と地域14の自治会や近隣3商店会などは29日、市長宛に連名で、踏切存続に向けた約4千人分の署名と、回答書を提出。話し合いの継続を求めるとともに、「合意なしに閉鎖を強行しないことを確約した時点で変更案を承諾する」とした。
話し合い中断に不信感
これまで、踏切を存続させる形での安全対策を市に提案してきた住民らは、「地域住民に、市案・地域案を情報提供する広報紙を共同作成しようと、今年1月まで話し合ってきたが、2月以降何の説明もなく中断された」と不信感を募らせる。
杉浦会長は、「使ってみないとわからないこともある」とし、横浜環状北線の関連街路として、今年度末に予定されている国道1号線と産業道路を結ぶ「岸谷生麦線」開通後の交通量の変化など、新設後の総合的な調査も訴えている。
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