済生会横浜市東部病院=下末吉=(三角隆彦院長)で4日、本来医師にしか認められていない一定の診療補助(特定行為)を行う看護師の育成研修が始まった。研修は国の制度により進められるもので、同院では一期生として看護師11人が参加。今後は院外にも広げていく考えを示しており、「育成することで地域に貢献したい」としている。
この研修は、いわゆる団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年を前に、医師不足解消や在宅医療等の推進を図るため、厚労省が2015年10月からスタートさせた「特定行為に係る看護師の研修制度」によるもの。
特定行為は、経口用気管チューブの位置調整や胃ろうカテーテルの交換などの21区分38項目。研修を終えた看護師は、医師の手順書があれば、自らの判断で処置を行えるようになる。
研修機関は厚生労働大臣が指定する医療機関や学校で、今年8月現在、全国29都道府県の54機関が指定されている。
呼吸器関連など9区分
東部病院は8月に研修機関として指定を受けた。実施する研修は、気道確保や人工呼吸療法に係る呼吸器関連、栄養に係るカテーテル関連など9区分。同院は研修機関指定に関し、「地域医療・地域包括ケアの要となる人材を育成し、期待に応えるのは使命」とする。
同院には15年から特定看護師として活躍を続ける金井誠さんが在籍。研修開始にあたっては、金井さんを室長として、看護師特定行為研修室を新たに設置し、準備を進めてきた。
今後参加者は、講師となる同院医師らから、実技やeラーニングを通して医学を中心に学ぶ。
在宅は長時間の壁も
厚労省は、特定看護師について、25年までに10万人という目標を掲げる。だが、今年6月現在で修了者は583人と伸び悩む。さらに、主目的の一つとする在宅医療従事者は、訪問看護ステーションの看護師が15人のみという現状だ。
これについて、区内の在宅医療関係者は、共通科目315時間に加え、区分別で最大72時間という研修時間の長さを指摘。「命に関わる以上、学ぶことは必要」とした上、「現場で勤務しながら長時間の研修は厳しい」と話す。一方で特定行為は必要としており、「近くにあることで受講の可能性は上がる」と東部病院の研修機関指定を歓迎する。
開講式の4日、一期生を前にあいさつした金井さんは、「制度が軌道に乗るのは10年後、20年後かもしれない。誰もが安心して受けることができるよう、土台作りを」とエールを送った。同院は来期以降、対象を県内の看護師に広げ、研修を行っていくとしている。
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