著書『ミネルヴァの梟』を出版した 吉田 幸一さん(ペンネーム:御田観月) 駒岡町在住 69歳
美しい日本語を伝えたい
○…「最近は文章を読むのもスマホが中心で、綺麗な日本語に触れる機会が少ない。小説を通して、改めて日本語の美しさを伝えられたら」。このほど著書『ミネルヴァの梟』を出版。「今後も神奈川を舞台に、茶道や人間の生き方に迫る小説を書き続けたい」と意気込みを語る。
○…埼玉県に生まれ、小学校入学前に鶴見区上末吉へ。末吉中学校では開校以来初となる1年生での生徒会長を務めた。県立鶴見高校から早稲田大学・大学院法学研究科修了後は、ソニー(株)に就職。人事部や海外マーケティングなどを担い、「バスに乗る感覚で頻繁に海外出張していた」と優しく微笑む。そして、そんな充実していた折にふと目にしたのが、神奈川県が公募した県立高校の民間人校長。祖父が学校長を務めていたこともあって昔から教育に関心があり、「残りの人生、情熱をより社会に貢献できる場に生かしたい」と一念発起。52歳でソニーを退職し、県立舞岡高校の校長に就いた。
○…プライベートでは、吉田宗石の名で茶道裏千家終身師範の資格を持つ。民間人校長としては茶道などを通じた海外の高校との交流や、生徒や保護者から寄せられた意見でトイレのパウダールーム化や土曜授業などを実践。「公立、私立含めて15年間にわたって教育界に携わり、生徒たちの輝く眼差しに心を打たれた」と振り返る。
○…教育界を退任後に作家の道に進んだのは、そんな若い世代と触れ合ってきたこともきっかけだった。趣味はオルゴールや世界のホテル、エアラインの便箋・封筒収集。「いつか鶴見を舞台にした小説を書けたら」と楽しそうに語る。古希を前に踏み出した新たな人生。穏やかな語り口だが、内に秘めた思いは尽きることない。
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