県政報告ひでしの「実績で勝負」86 神奈川県初の魚類養殖を実現。ブランド魚の確立を目指して 公明党 鈴木 ひでし
私はこれまで、神奈川県産水産物の安定的な供給のため、県内での養殖の推進を議会で提言してきました。そして、昨年11月に県内初となる魚類養殖の技術開発が始まり、早速現場を視察してきましたので、ご報告させていただきます。
気候変動で漁獲量が激減
神奈川県は、内湾性の東京湾と外洋性の相模湾という異なる環境の海に面し、東京湾ではシャコやアナゴ、カレイなど、相模湾ではアジやサバ、イワシなど、それぞれ多種多様な魚介類が水揚げされ、我々は豊かな海の恵みを受けてきました。
しかし、近年の気候変動に伴う海洋環境の変化で全国的に魚の分布海域が大きく変化し、これまで獲れていたサンマやスルメイカが全く獲れなくなったり、ブリが北海道の沿岸で獲れるようになったりしています。
県内沿岸でも、これまで少なかったサワラやタチウオが沢山獲れる様になったり、逆にアジやサバの漁獲量は減少。また、相模湾ではムラサキウニやアイゴという魚が増え、海藻を食べ尽くす「磯焼け」が拡大。海藻を餌にするアワビの漁獲量が激減しています。
本県の漁業のほとんどは天然資源に依存しており、このような漁獲量の激減は漁業者のみならず、県産水産物を安定的に県民に供給する意味でも大きな問題です。
このような状況の中で注目されているのが養殖です。養殖は計画的に安定して魚を生産できると共に、飲食店や販売事業者などのニーズに合わせた規格や品質の魚を供給できるという大きなメリットがあります。
例えば、海外ではサーモン養殖が急速に伸びており、国内でも、これまでのハマチやマダイだけでなく、サーモンやサバ等の養殖が各地で始まっています。
一方、本県における養殖業は、これまでノリやワカメなどの海藻類が中心で、意外にも魚類養殖の実績はありません。近年、イワガキやマガキなどの二枚貝の養殖に取り組む漁業者も現れてきましたが、まだ一部で県内には広まっていません。
こうした中、県水産技術センターでは、本県初の魚類養殖の技術開発に昨年から取り組んでいます。具体的には、小型で商品価値が低いとされているサバを養殖で大きく育て、商品価値を高めようとしています。
さらに、抗酸化作用の高いマグロの血合肉を餌として与え、病気に強く健康なサバを育て、より付加価値を高める研究も進めていく計画です。
私も、魚類を含めた養殖の振興が非常に重要だと以前から提言をしていて、昨年6月の県議会の代表質問では、「単に魚類養殖の技術開発のみに終わらず、その技術が漁業の現場で活かされ、生産される水産物がブランド化され、多くの消費者に届き、そして、漁業者の所得の向上につながる仕組みを考える必要がある」と訴えました。
その後、同センターでは、サバ養殖の生簀を海面に設置し、11月から15cm程度のマサバを約500尾、生簀で飼育を開始しました。
私はすぐに同センターを訪れ、現場を視察しました。生簀を元気に泳ぐマサバの群れを初めて見ました。マサバたちが沢山餌を食べて元気に育ち、今年3月の出荷を目指しているそうです。
この様に、神奈川県における魚類養殖は小さな第一歩を歩み始めたばかりですが、将来、事業化され、生産が安定するとともに、誰もが「このサバを食べてみたい」と思う魅力あるブランドを作り出し、多くの県民の皆様に味わっていただけるようになって欲しいと願うばかりです。
私は、こうした取組みが県内に広まり、県民への水産物の安定供給と漁業者の所得向上につながる神奈川らしい養殖業のビジネスモデルが創られ、儲かる漁業が実現することを願っています。
今回の詳細は私のHPでも動画で紹介しています。ぜひご覧ください。
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