横浜市は審議中の2024年度予算案で、脱炭素予算を大幅に拡充し、前年度のおよそ2倍となる80億円を計上した。「住宅の省エネルギー化の普及促進」は、前年の3倍以上となる約4億4千万円とし、省エネ性のより高い住宅のさらなる普及の促進を図る。
市の再エネ設備の設置について聞いたアンケートでは、設置をしない理由として7割近くが「初期設置費用が高いため」と回答。そこで今年度、最高レベルの断熱性能を備えた省エネ住宅等に住み替える費用の一部を補助する「省エネ住宅住替え補助制度」をモデル事業として実施した。対象を子育て世帯にすることで、高い省エネ性能を持つ住宅の普及と、子育て世代の市内転入・定住の促進を目指した。
今年度は最大100万円を補助額としたが、予定の100件(1億円)は数カ月で消化し、9月補正予算で倍額に。なかでも、市外からの転入は補助を受けた世帯の41・9%に上った。
来年度はこのモデル事業の成果を踏まえ、再エネ設備に加え蓄電池等を設置した場合には、さらに50万円の補助となる加算項目を新設し、最大補助額を150万円に引き上げ。補助件数も350件に拡充する。
また、多様な主体と連携したコンソーシアムによる普及啓発や、設計・施工者の技術力向上への支援などで、事業主と連携した情報発信を強化。市担当者は「行政と事業者が連携することで、市民も安心して相談できる体制を目指す」と話す。
新制度創設へ
さらに26年度には、「新たな住宅・建築物の脱炭素化促進制度」の創設を予定する。これは、建築士が、設計前に施主に対して再エネの導入効果や断熱性能の高い住宅のメリットを説明することを義務づけるもの。すべての建築機会に、再エネ設備や省エネ性能についての説明を加えることで、今まで以上の普及が期待できる。市は「2月の意見募集では概ね賛成をいただいた。来年度は円滑な運用に向けて、制度に関する周知や技術講習会等を実施する」としている。
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