「最高齢の金属細工師」としてこのほどギネス世界記録に認定された 尾上 芳充さん 駒岡在勤 95歳
「技術の追求に終わりはない」
○…95歳になった今も現役のバネ作り職人として現場に立ち続ける功績が、ギネス世界記録に認定された。「まさかこのような賞をいただけるとは本当に驚いた。自分はただ好きで続けてきただけ。支えてくれる従業員や家族のおかげ」と優しい笑みで感謝を語る。駒岡にある金属スプリング製造会社、日東発条(株)を1959年に創業。社長として経営に従事しながらも、毎日試作品の製作に余念がない。
○…東京生まれ、3歳で鶴見区へ。平安国民学校に通っている頃に戦争が激しくなり、軍需工場で労働に従事することになったのがバネとの出会いだった。「職人の人が一人またひとりと兵隊に呼ばれていってね。空襲ではこの辺りも焼け野原になってしまったよ」
○…そして終戦後に複数の工場で働いて技術を磨き、55年に独立して日東発条の前身となる尾上発条製作所を大田区で創業。その後、鶴見に移転し、日東発条を設立した。「当時は無我夢中だった。良い製品を作り、様々な企業にも出向いた」。その技術の高さが(株)リコーに認められ、事業も軌道に乗った。「リコーさんから『優良品質協力工場』の称号をもらえてね。あの時は本当に嬉しかったね」と顔をほころばせる。
○…バネを作り続けて約80年。今も毎朝8時前に出社し、職人とともに汗を流す。これまで作ってきたバネは千種以上。「技術の追求に終わりはない。うちにしかできない技術をさらに磨いていきたい」と飽くなき向上心を見せる。ギネスの認定式典では、社長を甥に引き継ぐ発表も行われた。「彼なら安心して任せられる。本当に良かった。これで好きな現場に立ち続けられる。従業員や地域に感謝し、100歳まで頑張るよ」と少年のような笑顔で語った。
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