横浜市立校 いじめ根絶へ「子ども会議」 512校で課題を共有
横浜市は今年度、児童・生徒が参加し、いじめ問題について議論を行う『横浜子ども会議』を初めて開催する。市立小中高校と特別支援学校を合わせた全512校から代表者を選出し、改善策を話し合っていく。最終的にまとまった課題や意見を全校で共有し、いじめが起きにくい学校づくりに役立てる。
会議は、子どもたち自身が校内で良好な人間関係を築き、快適に過ごすにはどうすべきか議論し、そこからいじめ防止を主体的に考えることが目的。市立の小中高・特別支援学校全512校を対象としており3回に渡って実施される。
6月中旬から7月にかけて第1回を区単位で開催。ここでは小中特別支援学校が「みんなが安心して過ごせる学校づくりの取り組み」、高校生が「高校生が考えるいじめについて」という同会議実行委員会から提案される議題で討論する。続く2回目は市内を4地域に分け、小学生から高校生が一緒に「互いに理解できる人間関係」「楽しく過ごせる学校づくり」などのテーマを通していじめ問題を考えていく。8月に実施する全体会で、地域ごとに選出された約100人が集結し最終議論を行う。
4地域での会議から高校生がコーディネーターとして会議の進行役を務める。全体会議に持ち寄られる課題や意見をまとめ、会議終了後に市内全校28万人が各校ごとで行う振り返りで使用する「アピール文」も作成。市教育委員会によると、自ら手をあげ、会議への参加を希望する児童・生徒も見られるといい、会議の中では活発的な議論に期待がかかる。
市は「教師や保護者、また地域ではなく子どもたちがいじめについて主体的に考えることに意味がある。まとめられた課題などを各校の状況に落とし込み、どう生かしていくかが重要ではないか」と話す。
前年度比1・8倍に
市が実施した調査によると、市立小中学校でいじめなどで悩みを抱えている児童生徒数が11年度の2883人に対して、12年度は5244人と約1・8倍に増えている。これに対し市は「いじめ問題の専任教諭配置や12年度の無記名アンケートなどが隠れたいじめの掘り起こしにつながったのでは」と分析。認知した数の8割が「冷やかされる」など、周囲が気づきにくい内容だったという。
市は「いじめ問題は市全体の重要課題で、今回の会議もその位置づけ。子どもたちが自ら考える快適な環境づくりの意見を今後に生かし、根絶に向け対策に力を入れていく」と語る。
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