リユース、SDGsの第一歩 原貿易
オフィスなどで使用されるレーザープリンターのトナーカートリッジをリユース品に代えると、新たなカートリッジを製造するのに比べてCO2排出量を1本あたり約3・4kg削減できるという。このリユースカートリッジに必要な消耗部材などを販売しているのが、松本町の原貿易だ。
三溪園を作ったことで知られる実業家の原富太郎(原三溪)が養子入りした原商店(後の原産業)を前身に持ち、繊維商社としてスカーフやマフラー、タイプライターに使うリボン生地の輸出など多角化を続けた。印刷生地の技術をもとにトナーカートリッジのリユース事業に参入したのは90年代中頃。国内に同業はおらず先駆け的な存在だった。
江守雅人社長は「創業当時からの理念が現代のSDGsにマッチしただけ」と話す。しかし、欧米と比べるとリユース品の普及率は20%程度と低く、中小企業経営者の意識改革が必要と感じているという。そこで同社では、リユーストナーカートリッジの導入がSDGs達成への第一歩になることを伝える独自のリーフレットを配布するなど、SDGsの理解促進に取り組んでいる。
同社では乳幼児向け用品の企画開発なども手掛けており、オーガニックコットンを使った製品をバングラディシュの工場で縫製することで開発途上国の雇用創出も支援。今年からは竹とバイオマスプラスチックを原料にした高耐熱・高耐菌の食器販売も始めるなど、SDGsと密接に関連した事業展開を加速させる。
同社の重田真由子さんは「自社で扱っているものがSDGs達成というゴールにつながることが、社員全員に浸透しているのが当社の強み」という。江守社長も「サステナブルというキーワードはこれからの企業経営に欠かせない。中小企業こそ、SDGsをビジネスにつなげるべき」と力を込めた。
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