緊急事態宣言下の横浜市立小中学校では、1つの学級を2班に分ける分散登校が行われている。市では児童生徒に貸与しているパソコンなどの端末を家庭学習に活用しようと、自宅への持ち帰りを許可。コロナ禍の「学びの保障」が進む一方、各学校の実情により一律の実施が困難なケースも見られる。
端末の持ち帰りは9月1日からの分散登校と同時に開始し、授業のライブ配信などに活用している。前段階として市が各家庭の通信環境などを調査した結果、端末配布後の4月・5月には84%の接続を確認。通信環境がなく就学援助を受ける家庭にはモバイルルーターを用意した。
一方で端末の活用については、不慣れな教諭や家庭の経済状況により一律での実施が困難な面もある。児童の保護者からは「端末を持ち帰っても家で使っていない学校もある。ICT(情報通信技術)環境などで教育に差が生じているのでは」といった声も上がっており、市は「ICT支援員が各学校を巡回し、教諭を支援する対策を取っている」という。
教育現場が端末を活用した在宅学習を模索する中、桜岡小学校=港南区=では昨年度から教諭間で端末の独自研修を実施。今回の分散登校では授業をライブ配信し、家庭学習の児童にも質問して双方向でのやり取りを行う。後藤俊哉校長は「家にいても皆とつながる安心感を感じてほしい」と話す。
桂台中学校=栄区=では教諭が3人1組となり、登校生徒も家庭学習の生徒もライブ配信を使って学年ごとに同時に授業を展開している。馬場理人校長は「端末活用だけでは受け身の授業になる可能性があるので、今後は放課後に対面での補習を行うなどフォロー体制を整える」という。
市教育委員会は「(自宅での端末利用は)通信費がかかるので、今回の試みが保護者の理解を得る一歩になれば。今後も大規模な臨時休校の場合は同様の措置を検討する」と話している。
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