ものづくりの分野などで卓越した技術を有する人を市が選定する「横浜マイスター」が発表され、靴の修理・製造を行う村上塁さん(39・三ツ沢下町在住)ら2人が選ばれた。村上さんは制度が始まった1996年以来最年少のマイスターとなり、「ニッチな世界である靴職人に光を当ててもらい、評価されてうれしい」と喜びを語った。
全国から修理依頼
村上さんは、反町駅近くにあるハドソン靴店の2代目店主として靴の修理や製造を手掛ける。修理は簡易な作業から難易度の高いものまでさまざま。大がかりな内容となると、靴を全て分解した後、各部を修復したり新品に取り換えたりしながら、元の靴の姿に戻していく。修理技術を支える道具を器用に使い分け、インクや釘などは独自に開発するこだわりようだ。
修理の依頼を受ける時は要望などのヒアリングに2、3時間かけることも。持ち主の思いをくみ取りながら一足一足に寄り添い、更に長く履いてもらえるように手作業で靴と向き合う。職人の世界では39歳と若いが、評判を聞きつけて全国各地から修理依頼が舞い込み、納品までは半年以上かかるという。
村上さんは「選ばれたのは、今まで支えてくれた人たち”チームハドソン”のおかげ。いろんな人の思いを背負って、お店を長く存続させていきたい」と話した。
椅子張り一筋63年
村上さんと共に横浜マイスターに選ばれた1級家具製作技能士の吉田昌義さん(78・保土ケ谷区在住)は、横浜家具を製作する元町の家具店「ダニエル」で椅子張り職人として働く。
あらかじめ枠組みされたセットスプリングが主流の中、吉田さんは椅子やソファの座面サイズと形状に合わせて複数の単独スプリングをバネ紐で結って固定する工法を行える数少ない職人だ。スプリングのバランス一つで座り心地が変わるといい、適度な張りを残しながら弾力ある掛け心地にするには熟練のノウハウが求められる。吉田さんの技術は伝統的な横浜家具の製作や修理に生かされており、県の家具協同組合で技術指導を行うなど後進の育成にも貢献している。
村上さんとは対照的に「最高齢マイスター」となった吉田さんは、「今更という恥ずかしい気持ちもあるが、椅子張り一筋でやってきた自分の技術が役に立てば」と話した。
横浜マイスターは1996年から始まった制度で、これまでに66人の技術者が選ばれている。
神奈川区版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|
〈神奈川県後期高齢者医療広域連合からお知らせ〉【75歳以上の方が対象】いざ、健康診査へ!今こそ自分の身体を見つめなおす時 |
<PR>