横浜市はこのほど、市内都心部以外でシェアサイクル事業の実証実験を開始した。実証実験は、公共交通機能の補完で地域住民の移動手段に自転車の選択肢を増やし、生活の質を向上させることなどが目的。民間2社と協働し、2025年3月31日まで実施する。
シェアサイクルは、地域内に設置された複数のサイクルポートを相互に利用でき、借りた場所でなくても自転車が返却できる交通システム。横浜市は2014年から中区と西区などを中心とした都心部で、シェアサイクル事業を始めた。開始した14年の1日の平均利用回数は500回に満たなかったが、21年には3000回以上に増加。市によると来街者や観光客などの利用が多いという。
都心部エリア以外へのシェアサイクルの拡大は、日常的な通勤通学や買い物など地域住民の利用を想定。市は、すでにベイバイクを実施している(株)ドコモ・バイクシェアと全国約80の自治体で事業を展開するOpenStreet(株)の2社と6月10日に協定を結び、市内を南部・北部・中部の3エリアに分け、2社で分担して事業を実施している。自転車は2社合計で約450台用意している。
6月から7月にかけてサイクルポートの増設を行い、現在18区全てにポートが設置された。ポートの場所は、公有地やコンビニなど。重点展開区の鶴見区や神奈川区、磯子区、金沢区、戸塚区、泉区、瀬谷区の7区は先行的に他の地域よりも早く、ポートを増やしていく。
返却できないポートも
シェアサイクルの利用には、スマートフォンアプリのダウンロードが必要。アプリは事業者ごとに異なり、利用料金が統一されていない。また、事業者が異なる地域をまたぎ、シェアサイクルを利用する際はポートのシステムが異なるため、他社の自転車は返却ができないという。市の担当者は「実証実験のなかで、それらの課題について2社の事業者と協議していきたい」と話す。
実証実験は2025年3月31日まで実施。その後、本格的な導入に向けて検討する。
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