神奈川大学工学部経営工学科=六角橋=の片桐英樹教授の研究室がこのほど、大学内発のベンチャー企業「(株)Well―Fed(ウェルフェド)」を発足させた。食と教育に着目し社員食堂など給食事業を行う事業者に数理最適化技術を活用した献立作成やAI技術を用いた需要予測で栄養士の過重労働の解消や食育の促進を目的にサービスを提供する。
Well―Fedは、同学科4年の佐々木啓斗さんが代表取締役社長兼CEOとなり、片桐教授が取締役副社長兼COO、同大学の大学院工学研究科経営工学領域の博士後期課程3年の太田和希さんが最高技術責任者を務める。「美味しく、健康で、そして公平・平等な『食の世界』を創る」ことをミッションとしている。
具体的には給食事業者に対し、売上数の実績や料理データ、人気の商品など各種データを用いてAI技術により、自動献立作成や需要予測を行うサービスを提供。献立を組む際に栄養バランスや地産地消の食材を使用するなど様々な条件があり時間を要する献立の作成や需要予測業務を自動化・効率化することで、栄養士の過重労働の解消や労働力不足の改善に寄与するサービスだ。
佐々木社長は高校2年生のとき、プログラミングに興味を持ちAIスタートアップ企業でインターンを経験。その後、プログラミングを究め、ビジネスを学びたいと同大学の経営工学科に入学した。そこで、約10年前から自動献立作成の研究を行う片桐教授の研究室に入り、この研究の社会実装に向けてAI・数理最適化技術を磨きながら、実践を重ねて起業に至った。「展示会などで実際に栄養士からサービスを使用したいと言われたときは嬉しかった」と佐々木社長。
今後は、給食事業を行う民間企業や自治体などにアプローチを図り実績を積み上げ、海外への事業展開も見据える。佐々木社長は「AIや数理最適化の力で給食業界にイノベーションを起こし、食を通じて子どもから大人まで全ての人が笑顔になる社会を横浜から創り出していきたい」と意気込みを話す。
事業活動を支援
同大学は、研究・技術を社会実装し、より良い社会を実現するため、大学発ベンチャー認定制度を2021年12月から開始している。同社は、認定制度発足後、第1号として認定された。
同制度により、大学の施設・設備の利用や大学が所有する特許などの知的財産権の使用に関する優遇措置、大学HPなどを活用した広報活動の協力、取引業者等企業の紹介、マッチング制度などの支援が受けられる。
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