神奈川図書館は9月20日、障害のある子どもたちでも楽しみやすい本を集めた”りんごの棚”を設置した。全ての子どもたちに読書を楽しんでもらうのが狙い。「障害の有無に関わらず気軽に足を運んでもらい、本の魅力を感じてほしい」と小室徹館長は話す。
障害の壁超えて
りんごの棚とは、視覚・言語障害など、特別なニーズの子どもでも楽しめる本を集めた本棚を指す。1993年にスウェーデンの図書館で始まり、障害児のためにりんごのおもちゃが作られたことが名前の由来。横浜市内の市立図書館では、中央=西区=、都筑、南、山内=青葉区=に次いで5例目となる。
利用者からのニーズがあったことから、児童担当の司書2人を中心に本棚の開設に着手。他館の蔵書や盲特別支援学校=松見町=の図書室も参考にした。以前からあった本に新たに揃えたものを加え、計100冊のりんごの棚が完成。棚の上部にある、りんごのマークが目印で、今後も、蔵書は増やしていく予定だ。
わかりやすい言葉で書かれた「LLブック」や「文字サイズの大きな本」に加え、「点字の本」では文字だけでなく、絵や写真も触って楽しめる図鑑なども揃っている。さらに、「字のない絵本」があるのも今回の本棚ならではの特徴。トリックアートや1台の車が様々な車と道路で出会う本など、「読まずに、見て楽しむことができる。自分たちでストーリーを想像しながら、親子で一緒に見ても面白い」と担当司書は話す。また市立図書館のサイトから電子版で借りられる、音声を聞いて本を楽しむ「オーディオブック」の案内も、本棚に設置されている。
読書の第一歩に
「障害を理由に、読書の楽しみを諦めてしまうのはもったいない。また、そうした絵本を個人の家庭で用意するのは手間もお金もかかる。ぜひ、図書館を活用してもらいたい」と小室館長は話す。また、本棚の大きなテーマは、障害の有無に関わらず”全ての子どもに本の楽しさを伝える”こと。小室館長は、「どんな子でも読みやすく楽しめる本が揃っているので、障害のある子もそうでない子も、まずは本を好きになる第一歩として、りんごの棚の本に手を伸ばしてほしい」と呼びかける。
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