神奈川工業高校定時制電気科3年の五十嵐裕揮さん(18)が、かながわ部活ドリーム大賞で「かながわ部活メンバーシップ賞」を受賞した。ライフル射撃部に所属する五十嵐さんは、昨年7月に全国大会に出場。その活躍の裏には、地元のメルビック電工株式会社=新子安=の温かいサポートがあった。
五十嵐さんは昨年6月の県大会で5位に入り、広島県で行われる全国大会への出場権を獲得した。しかし大きな問題となったのが、競技用スーツの規格だ。これまで使用していたものでは基準を満たさないが、スーツは1着15万円以上と高価で、旅費なども含めて夢の全国大会出場に黄色信号が灯った。
田中会長がOB
そこで救いの手を差し伸べたのが、メルビック電工(株)だった。田中修代表取締役会長は、同校のOBで、学科も同じという縁があった。学校長から同窓会への協力依頼を通じて事態を知ると、「後輩のために力になりたい」とスーツや移動費等、全国出場に必要な経費すべてを出資すると打診した。五十嵐さんは、「一学生の自分のために、まさか企業がサポートしてくれるなんて、感謝と驚きでいっぱいだった」と当時を振り返る。
五十嵐さんの体格に合わせたスーツには、メルビックのロゴもあしらわれた。新品のスーツに身を包んで参加した全国大会は、「周囲のレベルが高く雰囲気の呑まれてしまった。ミスもあって内容には満足できなかった」と155人中124位という悔しい結果に。しかし「サポートがなければ立つことすらできなかった舞台。高校3年間で忘れられない思い出になった」と笑顔で初の全国の舞台を振り返った。
定時制の逆境超え
アクション映画などで、銃やライフルに憧れを持ったのが競技を始めたきっかけ。神奈川工業高校への入学も、ライフル射撃部の存在が大きな決め手となった。「最初はライフルが想像より重くて、ブレずに撃つのが難しかった。集中力とメンタルが大切な競技」と五十嵐さん。顧問の入江亮教諭は、「シャイで真面目な性格。地道にコツコツと練習を積み重ねたことが、成長に大きくつながったのでは」と評価する。
定時制のため、練習は週に2回。専門のコーチも不在で、卒業生が指導役を務めてサポートしてくれることもある。決して恵まれているとは言えない環境の中で、日々努力を重ねてきた。今回の県・全国大会も全日制の大会。ハンデを抱えながら奮闘した。
そんな活躍が認められ、令和5年度「かながわ部活ドリーム大賞」で、地道に努力し他の模範となる生徒に贈られる「かながわ部活メンバーシップ賞」を受賞した。「色んな人の支えがあって活動できた」と感謝を口にする五十嵐さん。「技術面はもちろん、学園祭では体験会を開催するなどして、人との接し方などの人間面でも成長することができたと思う」と3年間の活動を振り返った。
メルビック電工(株)も同表彰で、部活動振興への貢献を称える「かながわ部活サポーター賞」を受賞した。これまでも数多くの地域貢献の表彰を受ける同社。田中会長は、「地元の若者の夢を応援することができたのは、私たちとしても嬉しい限り。今後も様々な場面で、地域の人たちをサポートしていきたい」と話した。
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