■おすすめの本は・・・
『日本の歴史をよみなおす(ちくまプリマーブックス)』
著者:網野善彦
出版社:筑摩書房
発行:1991年1月
■こんなお話です
私たちの社会が抱える様々な問題には、歴史的な背景を持つものが少なくありません。例えば被差別部落の問題や職業差別、女性蔑視など、差別に関する日常的な報道に接するにつけ、私たちが歴史を正しく学ぶことの大切さを痛感させられます。今回ご紹介する『日本の歴史をよみなおす』はまさに最適な1冊だと言えるでしょう。
著者によると日本社会は14世紀の南北朝動乱期に大転換期を迎え、それ以前の社会とは全く異なったあり方を示すようになったそうです。一言で言うなら、それまで神仏の領域であったものが聖性を失い、世俗化する変容が起きたのです。例えばそれまでは交易や金融などは神仏の領域に属する行為とされていましたし、当時、「非人」と呼ばれた人たちも神仏の直属民とされ畏怖の対象ですらあったそうです。しかし14世紀の大転換期を経て、それまで聖性を認められ社会で特別の地歩を得ていた人たちが蔑視の対象へと変わっていきます。同じく聖性を認められ社会で活躍していた女性も表舞台から締め出されるようになります。こうした価値観が現代まで続く根強い差別意識にもつながっていくわけです。
そのほかにも文字や日本という国家の問題など、今までの歴史常識を覆すような驚くべき指摘が多く、歴史の見方が大きく変わること請け合いです。
■おすすめの理由は・・・
本書は刊行以来、ロングセラーとして読み継がれ、1996年には続編も刊行されました。その後、正続を1冊にまとめた文庫版やワイド版も刊行されています。歴史に興味のある方だけでなく、興味のない方にもぜひおすすめしたい本です。
《協力:神奈川図書館》
横浜市神奈川区立町20-1/【電話】045・434・4339
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