京浜急行電鉄株式会社(川俣幸宏社長)は3月14日、沿線5エリアで地域の情報を発信するウェブサイト「newcal PJ」(ニューカルピージェイ)を開設した。観光情報から交通手段検索、予約、決済までが一つのサイト上で完結するいわゆる「MaaS」(マース)型のサイトで、今後開設予定の品川版、上大岡版を含め全7エリアで展開される。
同社は2020年から三浦半島で地域情報や交通情報が閲覧できる観光型MaaS「三浦COCOON」を運営していた。これを基礎として「(三浦・かなざわ・上大岡・横浜・川崎・おおた・品川)newcal」として拡大リニューアルをする。サイト内では、地元のイベントや商店の情報が閲覧できるほか、観光アクティビティーや宿泊施設の予約、決済が可能。さらに経路検索機能では、鉄道やバスだけでなく、レンタサイクル、カーシェア、電動キックボードの情報まで含めた経路が表示される。
専門部署が主導
今回開設されたサイトは同社が行う「newcalプロジェクト」の一環。昨年新設された「新しい価値共創室」が手掛ける取り組みで、沿線の中に複数の中核拠点を作り、その中で地域企業・団体と連携を取ることで沿線の価値を上げることが目的だ。
従来、鉄道会社は宅地開発を行い、都市部への通勤通学で路線利用につなげるいわゆるベットタウン型の手法を展開してきた。しかし、同室はそれを転換し各地に住宅、オフィス、学校、レジャーがそろった中核拠点を作り、新たな移動需要や沿線の魅力を創出しようとしている。
4つの取り組みで進行
そうした中核拠点をどのように作るかについて、新しい価値共創室エリアマネジメント推進担当の佐々木忠弘課長によると、同社は取り組みの内容を土壌構築から利用促進までの4つ(「newcalファミリー」、「newcalスポット」、「newcalMaaS」、「newcalモビリティパッケージ」※表参照)に細分化したという。
まず「newcalファミリー」に地域の自治体、企業、教育機関などが参加し、地域課題に取り組むためのコミュニティーを構築。新規事業発生の基礎となる。
次に「newcalスポット」では同社がエリア内で事業を行おうとする事業者(newcalファミリーから派生するケースも)とエリア内のスペースや不動産とを仲介するプラットフォームとなり、シェアオフィスやイベントスペースなど目的地となる具体的な場所の創出につなげる。
一方「newcalMaaS」はデジタル領域で予約、決済、デジタルチケットの発売などを行えるようにするシステムの整備。利便性を向上させ、創出された目的地の利用促進につなげる。
4つ目の「newcalモビリティパッケージ」は、移動手段の拡充を目的とする。移動の利便性を高めることで、多様な手段による移動の活性化が期待される。
佐々木課長は「これら4つの流れを『EaaS』(イアース)と名付けた。エンセン・アズ・ア・サービスの略。『EaaS』の構築により、多極型の街づくりを推進したい」と話した。
既に実践例も
同社は既にいくつかのエリアで地元団体、企業と協力した街づくりを進めている。横浜では県警や地域と共に、高架下を活用したアートイベント「黄金町バザール」などを開催。三浦半島では企業と協力しクラフトビールを販売する「三浦ブルワリー」を出店した。
佐々木課長は「直近の利益ではなく、社会が発展していくことを目指している。協力して色々なことをやりたいと思っているので、沿線を実験の場としてほしい」と地域に向かって呼びかけた。
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