横浜市が10月から市として初めて「看護師復職支援研修」を実施している。市の人口10万人あたりの看護職員就業者数が全国水準より低く、少子化の進展などにより新卒の看護職員採用が厳しくなると見込まれることから、離職した看護師の復職支援に本格的に乗り出した。採血など実技の不安解消や働く姿をイメージできる機会を通し、復職につなげるねらい。
横浜市内の看護師数は3万3747人(2022年)。人口10万人あたりの看護職員就業者数が821・6人で、全国の1049・8人を下回っている。07年から毎年市内の病院を対象に行っている「看護職員等の確保に関するアンケート調査」では、22年度は対象131病院のうち、回答があった88病院の看護職員の採用数の総数は2118人で、年度当初の採用目標数2165人を47人下回るなど「人手不足」の状態が続く。
今後も少子化が進むことから市医療局は「離職した看護師の復職への期待が高い」とする。市は離職した看護師、いわゆる潜在看護師は「採血などの技術や最新の知識に対応できるか」「家事や子育てと両立できるか」に不安を持つことが多いと過去の調査結果から分析。それらの不安を軽減するため、技術の感覚を取り戻したり、働く姿をイメージできる機会を設けようと復職支援研修を実施することに決めた。市医療局は「今後高齢者がさらに増え、医療需要が増す中、医療体制を整備する上でも看護師の確保は必須」と話す。
人手不足の解消に
10月5日には横浜市医師会聖灯看護専門学校=鶴見区=で初回の研修が行われた。研修には24人が参加。シミュレーターを用いた採血の演習や、頭痛や腹痛などを訴える患者の症状観察のポイントなどを学んだ。
参加した40代の女性は「7年間総合病院で働き、育児で離れた後は福祉施設などで働いてきたが医療か福祉か見極めようと参加した」。同校の望月紀子副学校長は「看護師の人手不足はコロナが明けてから深刻。離職者が現場復帰する一助となれば」と話していた。
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