神奈川消防団の副団長で、令和6年秋の褒章で藍綬褒章を受章した 落合 繁さん 六角橋在住 69歳
父親譲りの職人気質
○…地元の先輩の誘いを受け、1996年に神奈川消防団第7分団に入団した。六角橋の商店街や白幡のマンションでの火災が起きた際には、最前線で放水活動を続けた。「いつ起きてもおかしくないという危機感を常に持ちながら」と、28年間地域の安全と安心を守ってきた。
○…本業は(有)落合タイル工業所の二代目。子どもの頃から現場で父の手伝いをしていた。当時を知る顧客からは、69歳となった今でも「しげるちゃんと呼ばれているよ」と微笑む。現場では父と子ではなく、職人と親方。「綺麗にできて当たり前」が口癖の父は人一倍厳しく、敷いたタイルをすべて剥がされたこともあった。それでも毎日現場での学びを日記に書留め、休日には車庫で練習を繰り返し努力を重ねてきた。結局父から直接褒められることはなかったというが、仲間内には『うちの息子はよくやっている』と認めてくれていた。「当時は悔しかったが、厳しい指導のおかげで今がある。身体が続く限りは生涯現役でいたいね」
○…六角橋で生まれ育った。中学では野球部、高校ではバドミントン部で汗を流した。消防団加入と同時期に、地元の総鎮守杉山大神の神輿世話人会にも入会。今春からは会長に就任した。副団長との二刀流は多忙を極めるが、そんな日々の癒しは可愛い5人の孫たち。公園でのキャッチボールなど「休みの日には、時間があればいつも遊んでいるよ」と優しい祖父の表情を見せる。
○…皇居での受章式は夫婦で出席した。「家のことは任せっきりだった」と長年自身と家族を支えてくれたのは、ほかの誰でもなく妻。「めったにない経験をさせてあげられて嬉しい。少しは恩返しになったかな」と白い歯をこぼす。
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